2024 年 5月 5日 (日)
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[KWレポート] 韓国スタートアップになぜ外国のお金が殺到するのか(1)

次世代K-ユニコーンをつかめ

中小ベンチャー企業省©news1

韓国のスタートアップ企業に、豊富な資金力とネットワークを持つ海外投資家の熱い視線が注がれ、「K-スタートアップのルネッサンス到来」の期待感が、にわかに高まっています。日本よりもマーケットの小さな韓国になぜ、海外投資家が注目するのでしょうか。その理由を探ってみました。(シリーズ1/計4回)

韓国のネット通販最大手クーパンが今年3月、米ニューヨーク証券取引所(NYSE)への上場に成功し、2021年に韓国には4つのユニコーンが誕生した。成功の可能性を秘めた初期段階のスタートアップにも多額の資金が集中し、投資決定を前に、韓国に法人や事務所を設立して、その見極めを図る海外ベンチャーキャピタル(VC)も増える。

韓国スタートアップへの投資を条件にファンド・オブ・ファンズ(FOF)が出資して、海外VCが運用する――この「海外VCグローバルファンド」出資事業は2013年に始まった。2020年までの7年間で、計3兆3641億ウォン規模の33のファンドが設立、運用されている。

今年上半期のこの出資事業に、中小ベンチャー企業省が750億ウォンを出資することを決め、VCの10社を募集したところ、米国やシンガポール、アラブ首長国連邦(UAE)などからVC27社が集まった。そのうちの10社が選ばれ、今年8月までにまず6社だけで9000億ウォン規模のファンドが設立された。残りの4つまで加えると、1兆ウォンを超える見込みだ。各社が提出したファンド結成計画も、同省の予測を上回り、規模は事業公告時の予測値(2000億ウォン)の5倍となった。

この熱気は下半期の2次募集(700億ウォン出資)にもつながった。同省関係者は「下半期の募集でも上半期と類似の競争率を記録し、1兆ウォン規模のファンドがさらに選定されるとみられる」と述べている。

2021年の出資事業は2兆ウォン規模となる。過去7年間の3兆3641億ウォンと合わせて、5兆4000億ウォン。今年だけで規模が1.6倍に膨れ上がる計算だ。それだけ、韓国スタートアップへのグローバル投資家らの関心が高まっているわけだ。

これまで、グローバルファンドから投資を受けた韓国スタートアップは350社余り。総額は8000億ウォンを超える。グローバルファンドは、ユニコーン誕生の決定的な役割を果たし、韓国スタートアップ生態系の成長速度をさらに高めるという見方が出ている。

◇「投資の効果も大きい」

実際、韓国最大の中古品販売サイト「タングンマーケット」の場合、グローバルファンドなどから1789億ウォン規模の投資を誘致し、ユニコーン名簿に名を連ねた。このほか、韓国最大のフードデリバリーアプリ「配達の民族」を運営する「優雅な兄弟」、韓国最大のモバイル不動産アプリ「ジクバン」なども、後期投資の段階でグローバルファンドから大規模な投資を誘致し、ユニコーンにのし上がった。

FOFの運用機関である韓国ベンチャー投資の関係者は「グローバルファンドは、海外VCが韓国スタートアップに投資できるよう、両者の接点をつくる役割を果たしている」とみる。「グローバルファンド投資が一過性のもので終わらず、ネットワークを構築して追加投資の誘致まで続いている」という状況にあるそうだ。

一方、ある海外VC関係者は「特に情報通信技術(ICT)分野では韓国スタートアップが技術・事業モデルの競争力が高く、成長の可能性が高い」という見解だ。「海外VCの立場では、評価が定着しているシリコンバレーのスタートアップに比べ、韓国スタートアップはまだ評価が低いので、投資の効果も大きいとみている」と伝えた。

中小ベンチャー企業省の関係者も「韓国スタートアップの生態系が成長することで、海外投資家の関心が高まっている。グローバルファンドが拡大し、韓国スタートアップがグローバルユニコーン企業として成長する機会も増えるだろう」と述べた。

(つづく)

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