
北朝鮮は、アメリカがイランの核施設を爆撃した事例を「核兵器を持たない国を相手にした攻撃」として強く警戒し、似たような事態が自国でも起きる可能性があると見なしている。このため、報道によると北朝鮮は今後、いっそう「反撃能力」に注力する戦略をさらに強化するとみられる 。
アメリカは6月22日、イランの核施設3カ所を精密攻撃した。これは1979年のイラン・イスラム共和国成立以来、イラン本土に対する初の米軍による大規模攻撃だった 。
攻撃が成功した背景には、イランが核兵器を保有していないという前提がある。報道によれば、北朝鮮にはすでに6回の核実験を経て約50発の核弾頭が組み立てられており、さらに追加の核弾頭も製造可能な核物質を十分に備えているとされる 。
このため米軍は北朝鮮の核施設を同様に攻撃することは難しいと見られている。北朝鮮が報復措置として米本土や、米国の同盟国である日本や韓国などを標的に核ミサイルを発射する可能性があるからだ。
北朝鮮は2022年9月に「核戦力政策に関する法令」を採択し、「敵の脅威が高まれば自主判断で核を先制使用する」ことを可能と制度化している。中東の緊張のような危機的状況下では、実際に先制核攻撃をするリスクが高まると警戒されている 。
北朝鮮の核能力強化が進むほど、「非核化」を前提とした交渉の実効性は損なわれるとの見方が強まっている。一部では「北朝鮮の非核化」という言葉自体が、もはや時代遅れになったという声すらある。
アメリカによるイラン空爆と、その後の北朝鮮の対応によって、キム総書記は「アメリカを平和の対話相手とは見ておらず、体制防衛と核開発が最優先」との判断を固めた可能性が高い。また、ロシアや中国との反西側連携を深め、米韓との交渉には消極的姿勢を持ち続けるとみられている 。
専門家からは「北朝鮮は当面、体制維持と核開発を最重要とし、対米対話には応じず、ロシア・中国との軍事協力を深める方向に動くだろう」との分析も出ている 。
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