
韓国のイ・ジェミョン(李在明)大統領の妻キム・ヘギョン(金恵景)氏は、大統領選期間中、一切の表舞台を避けて静かに夫を支えてきた。人権派弁護士だったイ・ジェミョン氏と結婚してから30年以上、地方自治の最前線から国政の渦中まで、波乱の道を共に歩んできた。
キム・ヘギョン氏はソウルの中産階級家庭に生まれ、芸術高校や女子大学音楽学部ピアノ科を卒業。1990年8月、オーストリアへの音楽留学を準備していた際、知人の紹介で出会ったのが、当時開業間もない若き弁護士・イ・ジェミョン氏だった。出会いから7カ月後の1991年3月、2人は結婚した。
イ・ジェミョン氏は後年、この出会いをSNSに「5回目の紹介のうち、3回目で運命の人に出会った。私が一目惚れしたその人の名前はキム・ヘギョンだった」と記している。また、結婚の際には10年分の自筆日記帳を“結婚の証”として渡したエピソードも紹介。「私の人生で最もよかった選択は、妻と結婚したことだ」と語っている。
その後、イ・ジェミョン氏が人権派弁護士から城南市長、京畿道知事、共に民主党代表、そして大統領候補へと駆け上がる過程において、キム・ヘギョン氏は常に伴走してきた。
しかし政治的影響力が増すにつれて、キム・ヘギョン氏自身も検察の標的となった。現在も公職選挙法違反容疑で裁判中にあり、大統領選では全面的に表に出ることを控えた。代わりに、全国の寺院や光州の「5月母の家」、木浦のセウォル号船体、そしてハンセン病療養所のある小鹿島(ソロクト)などをひっそりと訪問し、“見えない内助”を続けた。
イ・ジェミョン氏はかねてより、キム・ヘギョン氏に対して「申し訳なさ」を繰り返し口にしてきた。6月2日に出演したYouTube番組「キム・オジュンの謙虚は難しいニュース工場」でも、「自分は政治家として選んだ道だから検察の捜査に耐えられるが、何の罪もない子どもや妻が巻き込まれてしまった」と吐露した。
また、大統領選敗北後の2022年、キム・ヘギョン氏が起訴された際には「長期にわたる報復的な捜査の果てに妻が犠牲となった。申し訳なくて、死にたいほど辛い」と語り、深い夫婦の絆をにじませた。
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