韓国の格安航空会社(LCC)エアプサンの旅客機火災で、一部の乗客が非常口を自ら開けて脱出したことをめぐり、乗務員の対応が不十分だったとの指摘が出ている。しかし、航空会社の関係者らは「乗務員はマニュアル通りに対応した」とし、乗客の軽率な行動がより大きな危険を招く可能性もあったと反論している。
釜山消防災害本部によると、火災が発生したのは28日午後10時15分ごろ。金海(キメ)国際空港の駐機場で離陸準備中だったエアプサンBX391便(香港行き)の機内後部で、閉鎖されていた手荷物棚から煙と火花が出ているのを乗務員が発見し、すぐに管制塔へ報告した。
後部座席の乗客も「荷物棚から火が出た」と証言している。乗務員は消火器で火を消そうとしたが、煙が急激に広がり失敗。その後、一部の乗客が「避難の指示が十分でない」と不満を述べ、自ら非常口を開けて脱出したとされる。
乗務員の対応を批判する乗客のインタビューが報道されると、会社員向けの匿名コミュニティ「ブラインド」には航空関係者からの反論が相次いだ。
大韓航空の職員は「乗務員は最後に脱出するのがマニュアルで、それが当然のルールだ。だからこそ、事故が起きたら自分の命をかけなければならない。乗客の立場ではもどかしく感じるかもしれないが、すべてマニュアルに基づいて動いている」と説明した。
エアプサン職員は「非常脱出の指示は乗務員の最優先任務だ。外部で火災が発生し、エンジンが作動していれば、乗客がエンジンに吸い込まれる危険がある。乗務員は全員の避難を確認した後、最後に脱出する。命をかけて待機していたのに、『対応が遅れた』という批判は理不尽だ」と強調した。
エアプサンの別の職員も「非常口を勝手に開けたら、さらなる事故につながる恐れがある。無計画に行動し、『英雄気取り』でインタビューを受けるのはやめてほしい」と指摘した。
さらに、別の航空会社職員は「リチウムバッテリー火災には対応マニュアルがある。まず消火器で初期消火し、次に水を張ったコンテナに入れる。もし翼の燃料タンクに火が燃え移れば、爆発して全員が命を失う可能性があった。乗務員は火が小さいうちに消し止め、避難させようとしたのだろう」と推測した。
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