韓国で現在、YouTubeや「SOOP(旧アフリカTV)」といったSNSで活躍するインフルエンサーが地上波にも進出し、インターネット放送の人気が高まる。一方で、自浄作用と規制が必要だとの声が増えている。
インターネット放送では性的コンテンツや犯罪行為が問題視され、規制の導入が求められている。例えば「SOOP」で流行している「アクセル放送」では、高額な視聴者寄付を目的に、性的魅力を強調するダンスが放送され、「ネット上のルームサロン」とも揶揄される。視聴年齢を制限する放送もあるが、再編集動画がネットに拡散され、未成年がアクセス可能な状態も続いている。
さらに、インターネット放送が組織化・企業化されるにつれ、出演者間のトラブルも増加し、社会問題に発展するケースも出てきた。昨年、飲酒放送中にBJ(配信者)間の対立が「ネットいじめ」に発展し、一部の配信者が自ら命を絶つ事件が発生。また、友人間で麻薬を流通させる事件もあり、ある配信者が麻薬販売の容疑で逮捕されている。
インターネット放送に伴う収益構造も問題だ。視聴者の寄付制度が刺激的なコンテンツを増加させ、BJが違法な行為に手を染めるケースもある。最近では、泥酔状態の女性に対する性暴行を生放送した30代の男性BJが逮捕された。この放送を見ていた200人以上の視聴者の中から通報者は現れず、社会的な批判が集まった。また、寄付金を使った資金洗浄や横領事件も後を絶たない。
メディアの専門家らは、こうした状況に対応するため、法や規制が不可欠だと指摘している。ソウル市内で薬物犯罪に関与した配信者が検察に送致されるなど、警察や食品医薬品安全処も関連の取り締まりを強化している。また「SOOP」運営側も24時間モニタリングやAI技術の導入により、不適切なコンテンツを削除・制限していると説明している。しかし、人気配信者への対応が不十分だという批判も根強い。
一方で、コンテンツの削除や規制に関してはプラットフォームにも責任が問われつつある。現行法では、YouTubeや主要OTT、インターネット放送プラットフォームは放送法の適用対象外で、プラットフォームがどの程度まで責任を負うべきかについては専門家の間でも議論が分かれている。韓国でも、企業の社会的責任に基づく自主規制の仕組みの導入が提案されているが、営利を目的とする企業が積極的に違法コンテンツを削除・規制することは難しいという指摘もある。
視聴者教育の重要性も指摘されている。違法コンテンツを支持する視聴者と、その収益を得るBJが共生関係にあるため、違法コンテンツを視聴・報告する姿勢を視聴者に求める教育の強化も必要とされている。
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