2026 年 6月 11日 (木)
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対米戦線の「戦略的資産」へ…非核化を捨てて北朝鮮との軍事協力に舵を切った中国の思惑

キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記と中国の習近平国家主席が8日、平壌体育館で開かれた歓迎公演を前にあいさつしている=労働新聞(c)news1

中国の習近平国家主席の国賓としての北朝鮮訪問を機に開かれた、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記との首脳会談で、「核」が消えた。中国が北朝鮮の主張する「核保有国の地位」を黙認し、北朝鮮の立場を強めたのではないかという懸念を含む分析が出ている。

朝鮮労働党機関紙・労働新聞と中国国営メディアが公開した首脳会談の結果によると、両首脳は戦略的意思疎通の強化と、政治・経済・軍事分野での全方位的な協力拡大などを強調した。しかし、7年前の習主席訪朝時の関連報道に盛り込まれていた朝鮮半島の非核化や核問題に関する表現は見当たらなかった。

習主席は最後に北朝鮮を訪問した2019年6月には、非核化問題の重要性に重きを置いて言及した。当時、キム総書記とトランプ米大統領の「ハノイ首脳会談」が決裂した後の会談で、北朝鮮を「統制」する役割を担った形だった。

習主席は当時、労働新聞への寄稿で「朝鮮半島問題の政治的解決を支持する」と述べた。これは当時、中国が米朝、南北米対話を通じた非核化交渉を支持する際に使っていた典型的な表現だった。

ところが習主席は今回の訪朝を前に労働新聞に寄せた文章で「覇権主義と強権政治に反対しなければならない」とし、米国の現在の動きに北朝鮮と中国が足並みをそろえて対応すべきだという趣旨の立場を示した。特に習主席は北朝鮮との軍事協力も進めると明らかにした。近年、核能力の高度化に集中している北朝鮮との軍事協力を強化すること自体が、北朝鮮の核武装を認めるものと解釈される余地が大きい。

北朝鮮も習主席の訪朝直前、核保有国としての立場を固めるための強硬な見解を改めて示した。習主席訪朝の前日である7日、北朝鮮はキム総書記の妹、キム・ヨジョン(金与正)朝鮮労働党部長を前面に出し、「われわれの核保有国の地位は絶対に後戻りできない限界線であり、誰が認めようと認めまいと厳然たる現実だ」と主張した。

またキム総書記は、習主席の訪朝がすでに確定していた3日に兵器級核物質を生産するウラン濃縮工場を、6日には弾道ミサイル発射体の生産工場を訪問し、中国が自分たちを「核保有国」として容認しているというメッセージを暗に発信した。

中国は長年、国連安全保障理事会常任理事国として、朝鮮半島の非核化原則を公式に支持してきた。北朝鮮の核実験後には国連の対北朝鮮制裁決議にも参加し、北朝鮮の核開発に反対する立場を示してきた。

しかし最近2~3年、中国の優先順位は非核化から北朝鮮との「戦略的協力の維持」へ移った。米国との戦略競争が深まる中、北朝鮮に対する影響力を広げ、北東アジアで主導権を確保するためとみられる。

一部の専門家は、中国が北朝鮮の核能力をもはや後戻りできない現実として受け入れている可能性を指摘する。北朝鮮の核戦力の高度化が相当な水準まで進んだ状況で、非核化圧力よりも北朝鮮との戦略的協力を通じて域内での影響力を維持することが、中国にとって現実的な選択になったという見方だ。

特に中国が台湾海峡問題と米中競争の激化に対応する過程で、北朝鮮の軍事的存在感が戦略的資産として評価され得るという分析もある。北朝鮮も中国との関係強化を通じ、核保有国の地位を既成事実化する外交的目標を追求しているとの評価だ。

韓国・慶南大学極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「中国側が軍事分野で交流を強化すると露骨に明らかにしたことは、従来の朝鮮半島外交原則である『朝鮮半島の非核化』基調の大きな変化を示唆する」とみている。

中国国営メディアは前日の報道で、習主席とキム総書記が外交、法執行、軍隊分野の交流を拡大しようと述べたとし、今後の中朝間の軍事協力拡大を示唆した。さらに今回の中朝首脳会談には、北朝鮮のノ・グァンチョル(努光哲)国防相と中国の董軍国防相が同席し、双方が協力に向けた実務的協議をした可能性も提起されている。

一方で、中国による軍事交流への言及は、北朝鮮とロシアの同盟に対するけん制の側面があるとの見方もある。韓国・統一研究院のホン・ミン研究委員は「『軍隊間の交流』を合同訓練の可能性と見るのは表面的であり、その内実は、北朝鮮とロシアの軍事的密着により北朝鮮の核・通常兵器の現代化が加速し、複合戦力の進化が速い状況に対する中国の懸念と直結する措置とみる必要がある」と分析した。

ホン研究委員は「中国が北朝鮮との軍事分野の人的交流や情報疎通を通じ、北朝鮮軍内部の技術変化とロシア技術の移転実態を直接把握し、軍部内の親ロシア・親中国の人的ネットワークの動向をモニタリングしようとする情報収集目的の可能性もある」と付け加えた。

(c)news1

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