2026 年 5月 26日 (火)
ホーム経済ゲーム韓国ゲーム業界、異例の「スト無風地帯」…カカオの混迷と対照的、背景にユーザー離れの危機感と「前例の失敗」

韓国ゲーム業界、異例の「スト無風地帯」…カカオの混迷と対照的、背景にユーザー離れの危機感と「前例の失敗」

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サムスン電子やIT大手のカカオなど、韓国の主要企業が激しい労使対立に揺れるなか、同国のゲーム業界が異例の「スト無風地帯」となっている。同じIT分野のカカオが総投票でストライキ方針を決めたのとは対照的に、主要ゲーム各社は相次いで賃金交渉を妥結した。背景には、過去の強硬ストがユーザーの猛反発を招いて自滅した「学習効果」に加え、業界全体の深刻な不況への危機感がある。

韓国のゲーム業界によると、大手「NCソフト」の労使は13日、平均年俸300万ウォン(約33万円)引き上げなどを柱とする賃金・団体協約を締結した。また、「ネットマーブル」傘下の法人が基本給300万ウォン引き上げや3.5%引き上げで妥結したほか、「ネクソン」も基本給6%引き上げを決定し、混乱なく交渉を終えた。

この一見、平穏な妥結の背景として指摘されているのが、2025年6月に起きたゲーム開発会社「ネオプル(NEOPLE)」の労働組合(ネオプル労組)のスト失敗事例だ。

当時、人気ゲームの中国での大ヒットにより過去最高業績を達成したにもかかわらず、成果給が縮小されたとして、ネオプル労組はゲーム業界初となる全面ストに踏み切った。しかし、このストによってゲームの「20周年記念イベント」が中止に追い込まれると、サービスに支障をきたされたゲームユーザーの間で猛烈な反発が起きた。結局、要求への共感を得られないまま労組内で内紛(労労対立)が勃発し、同年10月に上部組織によって労組自体が解散させられる事態に発展した。

ソウル市内のゲーム会社に勤める社員は「全面ストという強硬手段で成果給を求めたが、ユーザーの支持も得られず失敗した。この前例が業界全体に冷や水を浴びせ、強硬路線の歯止めになった」と明かす。

さらに、市場全体の冷え込みも労組に自重を促している。韓国コンテンツ振興院によると、2025年の韓国国内のゲーム利用率は50.2%となり、前年から9.7ポイントも減少。同院が集計を開始して以来、過去最低を記録した。業績が鈍化するなかでストを強行し、さらなるユーザー離れを招けば、企業の存続自体が危うくなりかねないという空気がある。

また、ゲーム産業特有の構造も影響している。製造業のような画一的な生産ラインとは異なり、ゲームは「特定の開発プロジェクトの成否」によって会社の業績が左右される。そのため、労働運動が目指しがちな「成果の均等配分」よりも、プロジェクトの貢献度に応じた「格差のある報酬体系」にならざるを得ない。

業界関係者は「市場規模が縮小するなかで、ユーザーの感情を逆なでする集団行動はリスクが高すぎる。労組側も無理な闘争より、実利的な賃金引き上げを確実に確保する現実的な路線を選んでいる」と分析している。

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