
「イカが新鮮ですよ、こちらへどうぞ」。釈迦(しゃか)誕生日連休の初日で土曜日となった23日、韓国・江原道束草(ソクチョ)市の「イカ屋台街」は曇り空にもかかわらず、名物のイカ刺しを求める観光客らでにぎわっていた。
同屋台街は2025年夏、ユーチューブへの投稿をきっかけに「客への不親切騒動」が勃発し、全国的な批判を浴びた経緯がある。その後、加盟店による自浄決議大会や問題店舗の営業停止、全店の自主休業、親切教育などを経て、本格的な連休の客迎えに乗り出した。
この日、屋台街のイカ刺しの価格は全店共通で1匹1万7000ウォン(約1870円)。ぼったくりを巡る騒動を防ぐため、各店がホワイトボードなどに価格を明記し、地元の水産業協同組合(水協)が価格を管理する仕組みを導入した。呼び込みはあるものの、メニューの強要や食事を急かすような高圧的な雰囲気は見られなかった。
訪れた観光客からは「無愛想な印象はあったが、不親切とは感じなかった。注文をせかされることもなかった」と、接客態度の改善を評価する声が上がった。
一方で、価格面の負担を指摘する声は根強い。別の観光客は「イカ1匹で1万7000ウォンは正直高い。これなら別の名物料理を食べた方がいい」とこぼす。
ただ、店側にとっても必ずしも暴利をむさぼっているわけではない。最近は生きたイカの産地委託販売価格が1匹2万ウォン(約2200円)前後まで高騰することもあり、店側の利益は2000〜3000ウォン(約220〜330円)程度。背景には、本格的なイカ漁のシーズン前で漁獲量が低調なことがある。江原道の海洋水産局によると、直近1週間の道内のイカ漁獲量はわずか2トン程度にとどまっていた。
2025年6月の不親切騒動は、束草市による「親切店・称賛店」の条例制定や、江原道が推進する「一人旅歓迎マップ」事業へとつながった。観光地でのぼったくりや不親切をなくし、1人客でも安心して訪れてもらえるイメージを定着させる狙いがある。
連休初日の屋台街は、2025年の騒動時とは異なる変化の兆しを見せた。しかし、観光客が納得できる価格設定と、改善された接客態度をどこまで維持できるか、屋台街の挑戦はこれからが正念場となる。
(c)news1