
韓国の半導体産業が過去最高の輸出を記録する好況の中、中東情勢の長期化が見えにくいリスクとして浮上している。特にヘリウムやブロムといった中間素材の供給不安が、今後の生産に影響を及ぼす可能性が指摘されている。
関税庁によると、2026年3月の半導体輸出は初めて300億ドル(約4兆5000億円)を突破し、4月に入っても好調を維持している。ただ、韓国貿易協会は中東の地政学リスクが長引けば、エネルギー価格の上昇にとどまらず、中間材の供給網全体に波及する恐れがあると警告した。
中でも問題視されているのがヘリウムとブロムである。ヘリウムはウエハーの冷却や洗浄に不可欠で代替が難しく、ブロムもエッチング工程で使用される重要な素材とされる。
韓国の輸入構造は中東依存が高く、ヘリウムの約65%をカタール、ブロムの90%以上をイスラエルに頼っている。このため、紛争の影響が直接供給不安につながる構造となっている。
実際にカタールのヘリウム生産施設が攻撃を受け操業停止に追い込まれたことで、価格は急騰し供給懸念が広がった。ヘリウムはコスト比率こそ低いものの、供給が途絶えれば工程全体が止まるボトルネック資源である点がリスクを高めている。
こうした中、サムスン電子とSKハイニックスは供給網の再構築を急いでいる。両社は価格上昇を受け入れつつ、米国や豪州、アルジェリアなどへ調達先を広げるとともに、グローバルガス企業と長期契約を結び供給確保に動いている。
ただ、専門家は単なる調達先の多様化だけでは不十分と指摘する。契約よりも実際の物量確保を重視する実物確保型の調達体制への転換が不可欠だという。また、ヘリウムの再利用技術など外部依存を減らす自立型プロセスの確立も重要課題とされている。
さらに、原油高や物流費の上昇により、AIデータセンターを運営するビッグテック企業の投資が鈍る可能性もあり、需要面の不確実性も無視できない。
このため両社は3~5年単位の長期供給契約を拡大し、販売先を固定化することで収益の安定化を図る戦略も並行して進めている。中東リスクが長期化すれば、半導体産業の成長を支える供給網の強化が一段と重要になる。
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