
韓国で、1600万人の観客を動員した映画『王と生きる男』のヒットをきっかけに、撮影地である寧越に新たな人の流れが生まれている。観光にとどまらず、「ワーケーション」や「1カ月滞在」など、一定期間地域に滞在する動きが広がっている点が注目されている。
従来の観光は名所を短時間で巡るスタイルが中心だったが、SNSの影響により、訪問者が地域に滞在し日常生活を体験する傾向が強まっている。
こうした変化は、政府が進める「生活人口」拡大政策とも重なる。生活人口とは、住民登録人口に加え、観光や仕事などで一定時間以上滞在する人も含めた概念で、地域の実質的な活力を高める狙いがある。
寧越は人口減少地域に指定されており、地方消滅のリスクを抱える代表的な地域の一つとされている。
専門家は、映画などのコンテンツをきっかけに地域への愛着を育み、繰り返し訪れる人を増やす「ファンダム型地域」戦略に可能性があると指摘する。
観光業界関係者は「無理に定住を促すより、何度も訪れたくなる関係性を築くことが重要だ」と話す。
一方で、こうした流れが実際の定住人口の増加につながるかは不透明だ。雇用や教育、医療といった基盤が整わなければ、滞在は一時的なものにとどまる可能性が高い。
専門家は「訪問者の増加をそのまま人口増加と捉えるのは難しい。まずは地域経済の活性化につなげる視点が必要だ」と指摘する。
今回の事例は、コンテンツと地域が結びつくことで新たな人の流れを生み出せる可能性を示した。一方で、持続的な人口増加には長期的な政策と環境整備が不可欠であり、「ファンダム」が地方再生の解となるかが今後の焦点となる。
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