
不動産税制の強化を前に、ソウル市江南エリアの住宅所有者が、物件の売却ではなく「贈与」に動く傾向が強まっている。価格を大幅に引き下げても売れないケースが増え、長期保有を前提とした戦略に転換しているとみられる。
登記情報によると、先月のソウル市におけるマンションなど集合住宅の贈与件数は901件で、前年同月の514件から約2倍に増加した。
特に高額物件が集中する江南エリアで顕著で、江南区は87件、瑞草区は62件、松坡区は56件といずれも大幅に増加。前年と比べ江南区は約2.1倍、瑞草区は約1.9倍、松坡区は約1.6倍となった。
贈与は主に高齢層によって進められている。江南区では申請者の半数以上が70代で、瑞草区でも60代以上が約8割を占めた。一方、受贈者は子ども世代が中心で、40代や50代が多い。
背景には売却市場の冷え込みがある。ソウル市のマンション売り出し件数は約7万8897件と、1カ月前より11.4%増加し、江南区では20%以上増えるなど売り物件が急増している。
しかし価格を引き下げても買い手がつかない状況が続いている。例えば、狎鴎亭洞の新現代マンション(専有202㎡)は、直近取引価格110億ウォンから約18億ウォン(約1億9800万円)値下げした91億7000万ウォン(約10億870万円)でも売りに出されている。また、大峙洞の銀馬マンションも数カ月で約4億ウォン(約4400万円)値下がりした。
贈与が増加している理由の一つは税制への対応だ。贈与税は時価を基準に課されるため、価格が下落している局面では税負担が相対的に軽くなる。加えて、多住宅保有者に対する譲渡所得税の重課再開や保有税引き上げの可能性もあり、「売るより家族に移す」という選択が広がっている。
専門家は「税負担への不安と価格調整局面が重なり、売却より贈与を選ぶ動きは当面続く可能性が高い」と分析している。
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