
米国がイランへの空爆後も中東情勢の出口を見いだせない中、在韓米軍の装備が相次いで中東へ移されているとの見方が出ている。中東の米軍基地で損傷した防空システムの空白を埋める目的とみられるが、一部では北朝鮮の核・ミサイル脅威に直面する韓国の防衛態勢に影響が出る可能性も指摘されている。
米紙ワシントン・ポストは9日(現地時間)、米政府関係者2人の話として、米国防総省が韓国に配備されている最新鋭迎撃システム「終末高高度防衛(THAAD)ミサイル」の一部を中東へ移していると報じた。
これに先立ち、在韓米軍の主力防空兵器であるパトリオット(PAC-3)ミサイル部隊も中東へ移動したことが確認されており、韓国に配備された主要防空戦力の移動が続いている。
THAADは2016年に韓国配備が決まり、2017年9月に慶尚北道・星州基地に1個砲台が配置された。地上から約40~150キロの上空で弾道ミサイルを迎撃する装備で、1個砲台は移動式発射台6基(各8発)、最大約3000キロ先まで探知可能なAN/TPY-2レーダー、指揮統制装置などで構成される。
迎撃高度が約25~30キロのパトリオットより高高度での迎撃が可能で、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)や極超音速ミサイルへの対処の中核とされている。
韓国軍は在韓米軍装備の移動について公式確認を避けているが、イ・ジェミョン(李在明)大統領は10日の閣議で「在韓米軍が自国の軍事的必要に基づき一部防空兵器を搬出した」と言及し、関連事実を事実上認めた。
米国が防空戦力の補強を急ぐ背景には、中東の米軍基地に対する攻撃がある。
イラン革命防衛隊は2日、カタールのアルウデイド米空軍基地に配備されていた早期警戒レーダー「AN/FPS-132」をドローン攻撃で破壊したと発表した。このレーダーは探知距離が約5500キロに達する高性能装備で、イラン全域のミサイル発射を監視する役割を担い、「米国の目」「神の目」とも呼ばれていた。
さらにアラブ首長国連邦やヨルダンに配備されたTHAADレーダーも被害を受けたとされる。こうした状況から、韓国に配備されていた装備が中東の防空網を補うため急きょ投入されているとの分析が出ている。
ただ、在韓米軍装備の相次ぐ移動が韓国の防空能力を弱める可能性を懸念する声もある。韓国に配備されたTHAADは1個砲台のみで、レーダーが移動した場合、事実上部隊機能が大きく制限される可能性があるためだ。
専門家の間では、北朝鮮のICBMや極超音速ミサイル、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)への迎撃能力が低下する恐れがあるとの指摘も出ている。
また、過去にも在韓米軍部隊が中東戦争へ派遣された後、韓国に戻らなかった前例があり、今回移された装備が再び韓国へ戻らない可能性を指摘する見方もある。
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