
韓国の国税庁や警察が差し押さえた暗号資産(仮想通貨)が相次いで外部へ流出する事案が発生し、捜査機関の管理体制の弱さが浮き彫りになっている。専門家は、担当者個人の問題に矮小化すべきではなく、組織全体の管理システムを再点検する必要があると指摘している。
警察は、国税庁が差し押さえた暗号資産が2度にわたり流出した事件について、3月1日に最初の容疑者を検挙し、流出した資産の回収方法を検討している。
また、ソウル市江南区の江南警察署で保管されていたビットコインが外部に流出した事件では、約21億ウォン(約2億3000万円)相当の資産を流出させた疑いで、2月25日に容疑者2人が逮捕された。
専門家は、主な原因として機関内部の暗号資産に関する理解不足と内部統制の不備を挙げる。人事異動が頻繁な公的機関では、ブロックチェーン技術やウォレットのセキュリティ構造に関する専門知識が蓄積されにくいという。
実際、国税庁は2月、滞納者の暗号資産が保存されたコールドウォレット(USB)4個を差し押さえたと発表した際、復元用パスフレーズであるニーモニックコードを誤って公開してしまった。その結果、約69億ウォン(約7億6000万円)相当の資産が流出した疑いが浮上している。
専門家は「暗号資産を適切に扱うには技術的理解が不可欠であり、体系的な教育が必要だ」と強調している。検察や警察、国税庁など関連機関に対して、管理ガイドラインの整備と定期的な教育の実施を求める声が上がっている。
さらに、民間のカストディ(保管)専門機関との協業が進んでいない点も課題とされる。警察は2025年、暗号資産の委託保管サービス事業の入札を3度実施したが、いずれも成立しなかった。年間予算は8300万ウォン(約913万円)に設定されていたが、民間企業からは「リスクに見合わない」との声が出ていた。
警察庁は再発防止策として、押収資産を「準備・押収・保管・送致」の各段階で分けて管理する新たな体制を検討している。また、暗号資産事業者に保管を委託する制度の導入も進める方針だ。
(c)NEWSIS