2025 年 6月 30日 (月)
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“遅すぎた正義”では済まされない…前大統領妻の学位取消が示す大学の堕落 [韓国記者コラム]

2025年6月3日、投票所に姿を現した韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)前大統領の妻キム・ゴニ(金建希)氏(c)news1

「遅れた正義は正義ではない」とよく言われる。確かに「遅れても正義が実現されるならば意味がある」と考える人もいるだろう。しかし、権力者の在任中は沈黙し、政権が交代した途端に「正義」を口にするのは誰にでもできることであり、その「正義」は限りなく軽く見える。

淑明女子大学と国民大学がユン・ソンニョル(尹錫悦)前大統領の妻キム・ゴニ(金建希)氏の学位を取り消すと発表したが、この決定には「遅すぎた正義」という言葉を使うのも気が引けるほどである。

淑明女子大学は2022年2月、大統領選直前に予備調査に着手し、その3年4カ月後の2025年6月24日にようやく修士号を取り消した。国民大学もこの発表の直後、博士号取り消しのための手続きを始めた。

淑明女子大学はキムゴニ氏の論文調査をユン政権下の3年間、先送りにしてきた。論文は参考文献を含めても60ページ程度と短く、調査に困難があったとは考えにくい。2022年12月にようやく本調査を開始し、調査期間は度重なる延長を繰り返した。

最終的にキム・ゴニ氏の論文が剽窃と判断されたのは、ユン氏の弾劾が現実味を帯びてきた2024年12月であり、今年1月には当人と申告者に結果が通知された。そして政権交代から3週間後、淑明女子大学はわずか2週間で学則を改正し、6月23日に学位取り消しを正式決定した。

国民大学の対応も同様に遅く、2021年に剽窃疑惑が出たにもかかわらず、論文発表から5年が経過しているとの理由で本調査を拒否。2022年8月には「不正行為に該当しない」と発表し、その中には「会員維持」を“member Yuji”と英訳した論文も含まれていた。

ところが、淑明女子大学の発表からわずか1時間後、国民大学は博士課程入学無効手続きに着手したと報告。同大学の博士課程入学資格は「修士号保有者」であるため、修士号が取り消されれば自動的に無効となるという論理だった。つまり、論文の剽窃そのものではなく、資格要件の欠如を根拠としていた。

3年間放置されていた学位取消が、政権交代後たった3週間で完了したのは偶然ではない。両大学が政権の顔色をうかがっていたという批判は避けられない。

学問と真理の砦であるべき大学が、権力に迎合し検証を回避した姿勢は、恥ずべきことであり、責任の放棄に等しい。表面化した剽窃疑惑を適切に検証し、相応の処分を下すことこそが大学の本分である。

もしキム・ゴニ氏が大統領の妻でなければ、この剽窃問題は3年も引き延ばされたであろうか。授業料を納めて学んだ在学生・卒業生への謝罪も必要である。

マーティン・ルーサー・キング牧師はこう語った。「あまりに遅すぎた正義は、拒絶された正義である」と。かつて民主主義の先端に立っていた大学の価値を自ら貶めたのは、果たして誰だったのか。【news1 シン・ユナ記者】

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