韓国・現代（ヒョンデ）自動車グループがグローバル市場で苦戦している中国とロシア市場で「損切り」を含む事業構造調整を進めている。代わりに、潜在力が大きいインドとインドネシアで新たな市場を開拓するなど、グローバル事業戦略を大きな枠組みで組み直す作業に力を入れている。
◇現地工場の整理
現代自動車・起亜（キア）工場に自動車鋼板を納品する現代自動車グループの現代製鉄は「現代スチール北京プロセス」「現代スチール重慶」を売却予定資産だと発表した。
現代自動車は今年6月に開かれたCEOインベスターデー（説明会）で、中国戦略を再調整すると発表したが、核心は5カ所あった現地生産工場を2カ所に縮小することだ。今回の現代製鉄の中国資産売却で、現代自動車工場の追加生産中止や売却が差し迫ったという解釈が出ている理由だ。
現代自動車は2007年、中国市場に初めて進出した。その後、2016年に販売台数を114万台まで引き上げたが、最新鋭迎撃システム「終末高高度防衛（THAAD）ミサイル」が問題になって以後、限韓令と不買運動など中国市場で苦戦し始めた。北京現代の今年1～7月の販売台数は13万9433台だ。
このような下落傾向が続き、現代自動車は販売台数に比べて多かった生産量を減らすため、現地工場の整理にも乗り出した。現代自動車は今年4月、中国現地生産工場のうち稼動停止した工場2カ所を売却すると明らかにした。北京現代の中国工場のうち、2002年に竣工した北京第1工場は2019年に生産中止後、現地の電気自動車メーカーである理想汽車に売却された。
追加の売却対象は北京第2工場と重慶工場、長州工場などだと中国現地メディアは伝えた。これら工場はすでに稼動中止された状態だ。長州工場に勤めているというある中国ネットユーザーは「長州工場側がN+1+8（勤続年数+1カ月給与+8000元）の補償か、北京地域の工場勤務の中から選択できる整理解雇案を提案された」と述べた。
◇売却説
ロシアのサンクトペテルブルク工場も売却説が絶えない。一時は年間20万台を生産した現代自動車グループの主要海外工場だが、ロシアのウクライナ侵攻で1年以上稼動を停止している。
最近、ロシア現地メディアは、自国の自動車ディーラーグループ「アビロン」が現代自動車ロシア生産法人（HMMR）と工場買収のために交渉中だと報道した。今年初め、ロシア工場をカザフスタンに売却するという現地報道が出回って以来、2回目だ。アビロンはフォルクスワーゲンのロシア・カルーガ工場も買収するなど、グローバル完成車メーカーの生産設備を買い入れている。
◇ファーストムーバーの地位
現代自動車は16日、GM（ゼネラルモーターズ）のインド・タレガオン工場を買収することを発表した。インドは中国と米国に次ぐ世界3大自動車市場に浮上している。昨年、インドは476万台の新車が販売され、世界主要国の自動車市場規模が5年前より減少した中、唯一18.5％成長した。
現代自動車は昨年、インドで計55万2511台を販売し14.5％のシェアを記録し、現地ブランドのマルティに次いで2位を占めた。
今月初め、チョン・ウィソン会長は「需要が増加するインド電気自動車市場でファーストムーバーの地位をいち早く占めるためには、顧客の期待を上回る商品性を備えた製品を適期に供給することが何より重要だ」とし、自らインドを訪問した。
◇人口4位
インドネシアも中ロの空白に代わる「チャンスの地」だ。インドネシアはインド、中国、米国に次いで人口4位（2億7700万人）で潜在力が大きい国だ。東南アジア諸国連合（ASEAN）国家全体人口約6億人のうち半分が暮らしており、ASEAN市場をつかむためにインドネシア生産拠点は必須だ。
現代自動車は昨年、インドネシア・ジャカルタ郊外に年間15万台を生産できる工場を建設して量産を開始した。工場の近くにはLGエネルギーソリューションと合弁で建てたバッテリーセル工場と現代モービスを筆頭に800億ウォンを投資したバッテリーシステム工場が来年の量産を控えている。
インドネシア自動車工業協会によると、現代自動車はインドネシアで今年上半期に1万8208台を販売したが、これは前年同期（8779台）より2倍増えた台数だ。現地で生産中のアイオニック5は、このうち3500台余りが販売され人気を集めた。
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