2024 年 5月 12日 (日)
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韓国・出生率0.72人「このままでは国が滅びる」…妊娠の問題解決に乗り出したスタートアップ

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キム・ユジンさん(29、仮名)は昨年、卵子冷凍施術を受けた。就職したばかりの状態で、落ち着いて結婚して子どもを産むまで少なくとも5年以上かかると思ったためだ。「子どもを産むかどうかはわからないが、あとで子どもを産みたい時に後悔しないために卵子冷凍施術を受けた」。キムさんはこう振り返る。

韓国統計庁が予想した昨年の合計特殊出生率。今年は0.68人、来年は0.65人と、毎年最低点を更新すると予想されている。

人口消滅の危機に直面している中、子どもを産みたくても産みにくい不妊夫婦も増えている。統計庁によると、不妊夫婦は2018年の11万6000人から2022年には14万3000人に急増した。そのため、キムさんのように不妊に備えるために卵子を凍らせ、子宮の健康を事前に確認しようとする人も少なくない。

不妊人口が増え、関連した診断・治療市場も急速に成長している。不妊治療剤市場も年平均10%以上増えると業界では見ている。革新技術で武装したスタートアップも不妊診断・治療市場に続々参入しており注目されている。

不妊症専門の産婦人科医であるイ・ヘジュン代表が2021年に創業したカイヘルスが代表的だ。最適な胚芽を選んで妊娠率を高める不妊人工知能(AI)ソリューションを作ることに集中している。

これまで試験管施術は、医療スタッフが胚芽5~10個のうち、最適の胚芽1個を顕微鏡で選別して子宮に移植してきた。問題は、胚の選別基準が医療スタッフによって異なるため、妊娠成功率が半分程度にとどまった。

カイヘルスは、医療スタッフに替わりAIが判断する。このため、国内外の医療機関から胚芽データ数万件を確保した。AIが妊娠の可能性が高かったり低かったりした胚の形などを学習する。同技術は、アジアで初めて欧州で医療機器の承認を受けており、現在、国内でも医療機器の承認手続きを進めている。

カイヘルスのイ・ヘジュン代表は「人が主観的に判断するのではなくAIアルゴリズムを通じて胚芽選別的中率を高めている。カイヘルスソリューション導入の結果、妊娠成功率は少なくとも65%以上」と話す。

子どもを授ける「サムシン(三神)おばあさん」に因んで社名を付けたサムシンは、医師3人が昨年設立したスタートアップだ。

サムシンは卵子を冷凍する前に卵子の健康を確認する卵巣年齢(アンチミュラーリアンホルモン・AMH)自己検査キットを開発した。指先から取った数滴の血をキットに落とすだけだ。病院検査に必要な採血量を90%以上減らすことができる。現在、テスト用に無償提供しており、今年第1四半期内に医療機器の承認を受けることが目標だ。

サムシンの自己検査キットを利用すれば、時間と費用も節約できる。キット配送から回収、検体受託機関に届けるまで3~4日程度かかる。病院で検査を受けるより時間は半分、費用は3分の1程度に減らすことができると説明している。検査精度も従来の病院検査に比べ95%に達する。検査後、国内15カ所の不妊専門病院も案内する。

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