2024 年 5月 5日 (日)
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韓国の食品産業のメッカ「国家食品クラスター」が売り上げ・輸出・雇用の3拍子に踊る理由

食品振興院(c)MONEYTODAY

韓国全羅北道益山市にある「国家食品クラスター」が、韓国の食品産業のメッカとして注目を集めている。2017年に造成が完了した「クラスター」は、農食品分野の技術革新と海外輸出市場の開拓を目的とする食品専門国家産業団地だ。ICT技術と文化が融合し、韓国の食品産業の未来を占う施設となっている。

「国家食品クラスター」は今月17日、2017年に232万平方メートル規模で造成された食品産業集積化団地のうち、産業用地(149万平方メートル)の分譲率は72.4%(2022年末)で、食料品製造業、飲料製造業など126社に対する分譲が完了したと明らかにした。

稼動中の入居企業72社の平均売上高は52億ウォン(2022年)で、2018~22年の1社当たりの年平均売上高は23.0%増加した。国内食品企業7万3915社の平均売上高が20億ウォン(2021年)にとどまり、またこれら企業の5年間年平均売上成長率が3.45%だったことを考慮すれば、「国家食品クラスター」入居企業の成長は非常にダイナミックだ。

◇多様なサービス「ワンストップ」で

健康機能性食品素材を生産する韓国の「ネオクレマ」は、グローバル進出戦略の一環として2018年に「国家食品クラスター」に1万平方メートル規模の生産施設を建設した。研究開発(R&D)はもちろん、輸出マーケティングなど企業活動に必要な多様なサービスを「ワンストップ(One-Stop)」で利用できる点が進出を後押しした。

同社は、クラスターの「機能性評価支援センター」の効能評価や、人体適用試験などの技術支援を通じ「機能性ガラクトオリゴ糖(GOS)」の開発に成功した。同年、米国食品医薬品局(FDA)からGRAS(米国に販売される食品原料の安全性評価・検証制度)認証を取得した。実力で成長可能性を立証したネオクレマは翌2019年2月、「国家食品クラスター」に入居した食品素材企業としては、初めてコスダック市場に上場を果たした。

生鮮食品・飲料など、70種類余りの製品を生産する総合食品企業「プルムウォン」は「国家食品クラスター」に輸出用キムチ工場(3階建て、3万329平方メートル)を建設し、株漬けキムチ、マッキムチ(白菜を食べやすい大きさに切って漬けたキムチ)、カクテギ(大根キムチ)、ソッパクチ(大根と白菜のまぜキムチ)など多様なキムチを1日30トン、年間1万トン以上生産している。同社は1999年にOEM(相手先ブランドによる生産)でキムチ事業を始めたが、自社工場を建てて直接参入するのは今回が初めてだ。

プルムウォンは「クラスター」と協業し、輸出用キムチ生産のためのR&D機能を大幅に強化した。国内産プルムウォンキムチと米国現地生産キムチとの違いを科学的に立証することで、米国市場攻略を加速することができた。プルムウォンは米国市場占有率42.8%(2020年)を記録し、同種業界1位となった。2022年には「国家食品クラスター」内の工場で生産したキムチの売り上げが前年比24.9%増となった。

農林水産食品省のクォン・ジェハン農業革新政策室長(c)MONEYTODAY

◇「食品産業の発展、けん引したい」

新型コロナウイルスの感染拡大という状況下でも「クラスター」に入居した企業の輸出は毎年増加している。入居企業20社の輸出実績(2022年)は計848億ウォンで、1社当たり平均42.4億ウォンに達した。輸出企業も当初の5社から20社に拡大した。主な輸出品目は健康機能食品(31.4%)、飲料(23.7%)、海苔(23.0%)、キムチ(8.6%)――などだ。

多くの食品企業が景気萎縮などで苦しんでいる間、クラスター企業は企業活動が活発になり雇用が増えた。稼働中の企業72社の平均雇用人員は19.7人で、企業当たり年平均雇用人員(2018~22年)は16.7%増加した。

消費者の関心が高まっている機能性食品と関連した製剤や商用化技術支援も強化された。「クラスター機能性食品製剤センター」は最近、韓国食品安全管理認証院から食品安全管理認証基準(HACCP)認証を取得した。機能性食品製剤の技術支援に特化した国内唯一の研究施設である「製剤センター」は3月に生産支援のために優秀健康機能食品製造基準(GMP)を獲得した。

「機能性食品製剤センター」は、食品製造分野におけるデジタル転換の先導モデル構築のため、デジタルプラットフォーム(5G特化網活用)の導入はもちろん、人工知能(AI)物流移送ロボットアーム・無人物流システムなど、遠隔制御が可能なスマート工場システムを構築した。

農林水産食品省のクォン・ジェハン農業革新政策室長は次のような見解を示している。

「国家食品クラスターは2017年に産業団地を造成して以来、126の食品企業を誘致し、多様な研究・生産施設(機能性食品製剤センターなど10企業支援施設と研究・生産装備841種)を整備し、食品産業の成長を促進する核心拠点に成長した。今後も全国の食品企業が国家食品クラスターの施設と装備を最大限活用できるよう、企業親和的支援体系を構築し、食品産業の発展をけん引していけるようにしたい」

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