2026 年 5月 14日 (木)
ホーム社会韓国の民事訴訟、弁護士費用負担が壁→「AI頼みの一人訴訟」へ…小額事件で増加

韓国の民事訴訟、弁護士費用負担が壁→「AI頼みの一人訴訟」へ…小額事件で増加

民事小額事件での弁護士未選任率(c)MONEYTODAY

韓国の民事法廷で弁護士を見かけることが難しくなっている。経済的負担などを理由に弁護士を選任せず、自ら訴訟を進めるケースが多いためだ。AI(人工知能)の利用が急増するなか、こうした「本人訴訟」はさらに増えるとみられている。副作用を懸念する声が強い一方、司法へのアクセスが広がるという肯定的な評価も出ている。

韓国大法院が発行した「2025司法年鑑」によると、2010年から2024年まで、全体の民事裁判の70%以上を占める小額事件での本人訴訟の割合は、平均で約80%台を記録した。特に2024年の民事事件78万6085件のうち、いずれか一方でも弁護士を選任しなかった事件は70万5567件だった。割合にすると約90%に達する。

本人訴訟の割合が高い水準で推移する理由として、まず弁護士費用の問題が挙げられる。訴額が3000万ウォン(約330万円)以下と低い民事小額事件の場合、弁護士を選任して報酬などを支払うと手元に残るものがない。費用の方が大きくなる状況が生じるのだ。電子訴訟システムの普及により、自宅で訴状を提出し、裁判の進行状況を確認できるようになった変化も影響した。

今後、本人訴訟はさらに増えるというのが法曹界の大方の見方だ。AIが日増しに賢くなっているためだ。ソウル・瑞草洞のある弁護士は「法律専門AIではない一般AIでも意見書などを見事に作成してくれる」とし、「弁護士ではなくAIの助けを受けて訴訟するケースが増えるのは、あまりにも当然のことだ」と話した。

実際、ソウル中央地裁の民事小額法廷で会った本人訴訟の当事者らは、例外なくAIを活用して裁判を準備していた。不動産購入の過程で損害が発生し、仲介業者を相手取り訴訟を起こした30代男性は「AIが要件を満たす訴訟だと答えてくれたため、訴訟を始めた」とし、「法律知識がまったくない一般人として、訴訟の正当性や勝訴可能性に確信を持てなかったが、AIを信じて訴訟することになった」と話した。

本人訴訟の増加は韓国だけで目立つ現象ではない。訴訟当事者が必ず弁護士に訴訟行為を代理させる「弁護士強制主義」が導入されていない国では、本人訴訟が多い傾向がある。代表的なのが米国で、最近は米国でもAIを活用して裁判所に書類を提出する訴訟当事者が増えている。米国内の本人訴訟の割合が70%台に達するとの数値もある。

問題は、AIに過度に依存して本人訴訟を進めるなかで生じる副作用だ。専門家である弁護士を排除して事を進めると、取り返しのつかない問題に直面する可能性がある。自分に不利な書面を提出したり、AIの「ハルシネーション」によって存在しない判例をもとに論理を組み立てたりする場合だ。この場合、訴訟を誤るリスクが大きい。裁判所の行政力の浪費につながりかねないとの懸念も出ている。

匿名を求めた弁護士は「民事訴訟では、当事者に必要な事実関係を見つけ、それに合う証拠があるかを探す作業が重要だ。今のところ、AIには難しい領域だ」とし、「本人訴訟をすると、自分だけの視点で事実関係や証拠を見て恣意的に判断することになる。早く法的助言を受けていれば簡単に解決できる訴訟でも敗訴する可能性がある」と話した。

(c)MONEYTODAY

RELATED ARTICLES

Most Popular