
新緑の季節を迎え、日常の慌ただしさをしばし忘れ、休息とゆとりを楽しめる韓屋の名所が注目されている。特にドラマや映画などKコンテンツの舞台であり、ソウルの歴史的な風情をそのまま残す韓屋の価値を再発見しようとする人々の足が続いている。
ソウル観光財団によると、同財団は自然と調和する「借景」の哲学を備えたソウル都心の韓屋名所4カ所を推薦した。韓国の伝統建築は自然に親和的で、周辺環境を人工的に加工するよりも地形と調和し、建物と自然が一体となるようつくられている。
こうした哲学の頂点が、「自然を借りて自分の庭にする」という意味の借景だ。韓屋の窓や扉は光と風の通り道であるだけでなく、塀の向こうの山や空、緑の森をそのまま取り込む額縁の役割を果たしており、数百年が過ぎた今も韓屋が特別に感じられる理由となっている。
ビルが立ち並ぶソウル都心を離れ、北漢山の牛耳洞渓谷に着くと、雄大な規模と端正な美しさを備えた韓屋「仙雲閣」が姿を見せる。1960年代に建てられた大規模な民間韓屋で、近現代史の曲折を刻む場所だ。現在は韓屋カフェ兼屋外結婚式場として一般公開されている。
仙雲閣はドラマ「ミスター・サンシャイン」で主人公ユジン・チョイが勤務する米国公使館の背景となった石塀の道が、今も撮影スポットとして人気を集める。本館2階のテラスからは北漢山の稜線を一望でき、韓屋の内部には大きな照明や華やかな螺鈿のテーブルが置かれ、韓国的な美感を伝えている。
北村韓屋村の細い路地を上ると、近代韓屋「白麟済家屋」に出合う。1913年に当時の韓国上流層の住まいとして建てられ、後に外科医として知られたペク・インジェ氏の所有となった。伝統的な韓屋とは異なり、サランチェとアンチェを廊下でつないで室内を自由に移動できる構造が特徴で、ガラス窓や赤レンガの塀など近代建築の要素も取り入れられている。
近年はドラマ「財閥家の末息子」のチン・ヤンチョル会長邸、映画「暗殺」の親日派カン・イングク邸の撮影地として知られ、Kコンテンツの旅行地としても注目されている。火曜から日曜の午前9時から午後6時まで無料開放され、事前予約すれば解説付きで内部を見学できる。
鍾路の中心部にある雲峴宮は、興宣大院君の私邸であり、高宗が幼少期を過ごした場所だ。老安堂と老楽堂へ続く建築美は宮殿に劣らず、幾重にも重なる瓦屋根が重厚な趣を醸し出す。
雲峴宮の庭の向こうの低い丘には、ルネサンス様式の2階建て住宅「雲峴宮洋館」がある。1912年ごろ、日本が王室関係者を懐柔する目的で建てた建物で、外壁に刻まれた李花の模様が朝鮮王室ゆかりの建物であることを物語る。ドラマ「トッケビ」では主人公の家として登場し、広く知られるようになった。現在、洋館は徳成女子大学鍾路キャンパス内にあり、塀の外から外観を眺めることができる。
城北洞の古い石塀の向こうにある「寿硯山房」は、韓国短編小説の先駆者である尚虚イ・テジュンが1933年に自ら建てた改良韓屋だ。チョン・ジヨン、イ・サンら当代の文人が集まり、文学と人生について語り明かしたこの場所は、現在、伝統茶を味わえる茶店として運営されている。映画「ハウスメイド」、ドラマ「夫婦の世界」、バラエティー番組「遊ぶなら何する?」などの撮影地としても知られている。
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