
韓国を訪れる外国人観光客が過去最高を記録する一方で、依然として10人中7人以上が首都圏に向かっている。政府は打開策として「地方空港の路線開放」を打ち出したが、観光業界からは、劣悪な空港インフラを指摘し、実効性のある規制撤廃と、襄陽空港など純粋な民間空港の積極活用が急がれるとの声が上がっている。
外国人観光客の首都圏集中はなかなか解消されていない。ヤノルジャリサーチの分析では、2025年に韓国を訪れた外国人1894万人のうち、72%が仁川・金浦など首都圏空港から入国した一方、非首都圏空港の割合は16.7%にとどまった。
2026年1~3月期には地方空港の入国客が前年同期比50%増となり、反騰の兆しを見せたが、全体に占める割合は依然として小さい。
こうした構造的問題を打破するため、最近、政府の動きが一段と慌ただしくなっている。きっかけになったのは大統領の直接指示だ。
イ・ジェミョン(李在明)大統領は先月14日の国務会議(閣議)で「国籍航空会社のためにバランスを取るとして、外国航空会社の就航拡大を先送りするのは望ましくない」とし、大胆な路線開放を求めた。
これに先立ち、2月に開かれた国家観光戦略会議でも、7年ぶりに大統領が直接出席し、「2029年訪韓客3000万人の早期達成」を宣言した。地方空港専用の運輸権設定や空港施設使用料の減免などの誘導策も示された。
最高意思決定者の強い意志が確認されたことで、所管省庁も縦割りを崩し始めている。
文化体育観光省と国土交通省は先月、大邱を皮切りに金海、清州を回る「地方空港連携地域観光活性化協力フォーラム」を始動した。両省は下半期に共同政策協議会を発足させ、外国航空会社の新規就航環境と滞在期間拡大策を積極的に模索する計画だ。
問題は現場のインフラだ。政策の方向性は合っているが、多くの地方空港が軍事施設を兼ねているため、外国航空会社が飛行機を飛ばそうとしても限界が明確だとの指摘がある。
在韓外国航空会社協会のキム・ドンファン会長は「民間航空機が使える時間は午前6時から午後8時までに縛られており、軍空港の発着枠も絶対的に不足している」と訴えた。続けて「金海空港は午後11時になると税関・出入国管理・検疫(CIQ)の職員が退勤し、悪天候などで回航した場合に入国処理ができず、リスクが大きい」として、発着枠の追加配分を求めた。
慶熙大学のチェ・ギュワン教授は「省庁間の責任の押し付け合いを防ぐには、文化体育観光省、国土交通省、法務省が参加する強力な統合協議体を設け、3カ月以内に核心懸案を整理しなければならない」と強調した。
専門家らは、軍空港の構造的限界を避ける最適な代案として江原道の襄陽国際空港を挙げている。現在、国際線はまったくないが、逆に既存路線との干渉や軍事的制約がない「白紙状態」の民間空港だからだ。
波及効果は数値でも示されている。ヤノルジャリサーチの分析によると、襄陽空港に外国航空会社の路線が週3便だけ新規就航しても、年間最大1万8000人の外国人が流入し、約298億ウォン(約32億7800万円)を消費すると推定された。路線を5年間で段階的に拡大した場合、5年目には年間訪問客79万人、地域消費額1兆2000億ウォン(約1320億円)、雇用誘発2万人の達成が見込まれる。
制度的な条件も整っている。ベトナムなど4カ国の団体観光客に対する「15日間ノービザ特例」が実施中で、2025年にはベトジェット航空の「ダナン―襄陽」路線が94.3%の搭乗率を記録し、需要を証明した。
チェ教授は「襄陽空港で飛行機が飛び始めれば、江原道東海岸ベルト経済全体が生き返る」とし、「この速度で政策が5年間進めば、東海岸一帯の人口減少問題まで先制的に防ぐことができる」と見通した。
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