
音を利用した産業用診断技術を手がける韓国のベンチャー企業「SMインストゥルメント(SM Instruments)」が、半導体工場向けのガス漏れ超音波検知システムを開発し、市場の本格攻略に乗り出した。創業20年を迎えた同社のキム・ヨンギ代表が18日、ソウル市内で記者会見し、新製品「BATCAM CX」などを発表した。すでにサムスンディスプレイに納入し、量産ラインへの適用準備を進めているという。
メガ・ニュース(MEGA News)のパク・ヒボム記者の取材によると、半導体の製造工程では水素やアンモニアといった危険な毒性・可燃性ガスが数多く使われるため、漏洩時の迅速な初動対応が不可欠となる。しかし、従来の濃度を測定するガスセンサーでは、ガスがセンサーに到達して検知するまでに数十秒から数分かかるのが課題だった。
これに対し、新製品はガスが噴き出す際に発生する微細な超音波を捉える仕組みを採用した。最大200メートル離れた場所からでも、わずか0.5秒以内で検知できるのが最大の特徴だ。キム・ヨンギ代表は会見で「実証段階にとどまっていた超音波によるガス漏れ検知技術を、実際の量産ラインに投入できる水準まで製品化したのは業界で初めてだ」と胸を張った。
この圧倒的な検知速度を支えるのが、同社が独自開発した「AURORA」と呼ばれるマルチモーダル人工知能(AI)プラットフォームだ。産業現場の音響と映像のデータを組み合わせて分析することで、ノイズの多い複雑な環境下でも、設備の異常信号だけをリアルタイムで精密に識別することができる。同社は防爆機能を備えたモデルも同時に投入し、安全基準の厳しい現場への普及を図る。
同社は2006年、韓国科学技術院(KAIST)のインキュベーションセンターで産声を上げた。キム・ヨンギ代表は大手電機メーカーのLG電子や韓国航空宇宙研究院で衛星開発の音響担当などを経て、音の可能性に着目して起業した経歴を持つ。
これまでに米ニューアーク空港で航空機の燃料浪費を防ぐモニタリングシステムを供給したほか、韓国内では公道でのオートバイの騒音を取り締まる知能型システムの運用試験を実施するなど、実績を積み重ねてきた。現在のグローバル市場シェアは約35%に達し、2026年の売上高は130億ウォン(約14億6000万円)を見込んでいる。
今後はサムスン電子やSKハイニックスといった半導体大手の製造ラインへの導入を目指す。キム・ヨンギ代表は「韓国の半導体工程だけでも約8万台、最大で5000億ウォン(約560億円)規模の市場が開けると期待している」と語り、来年のコスダック市場への上場を目標に世界的な大手計測器メーカーと本格的な競争を展開していく構えを示した。
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