
北朝鮮・平壌のホテルで「キーウ式料理」が人気メニューとして紹介されるなど、欧州料理が北朝鮮住民の日常に広がる様子がうかがえる。北朝鮮とロシアの接近が進む中、ロシア料理を含む外国料理が富裕層や観光、接客の場を中心に広がっているようだが、ウクライナの首都キーウの名を冠した料理が平壌の人気メニューになっている点が注目されている。
最近発行された北朝鮮の料理専門誌「朝鮮料理」2026年1号には、「キーウ式カツレツ」が掲載された。雑誌はこの料理について、平壌市中区域の「平壌ホテル」で宿泊客らに提供される人気の外国料理の一つだと紹介した。
この料理は、鶏の胸肉にバターを包み込み、卵液とパン粉をまぶして油で揚げるもので、「鶏肉のパン粉揚げ」と説明された。家庭料理というより、主にホテルや宴会場などで出される料理とみられる。
雑誌は「平壌ホテルでは民族料理だけでなく外国料理も高い水準で提供している」と伝え、外国料理に対する需要と好みが着実に広がっていることを示唆した。
とりわけ最近は北朝鮮とロシアの接近が深まり、ロシア料理やデザート類が上流層を中心に広がる流れも見えている。外交、安全保障分野での協力強化とともに、食文化の面でも交流が広がる様相だ。
ロシアと密着する北朝鮮が、ウクライナの首都名をそのまま使った料理を「人気料理」として前面に出しているのは、ウクライナを事実上、正式な国家として認めないかのような北朝鮮の姿勢と無関係ではないとみられる。労働新聞など北朝鮮のメディアは、ウクライナのゼレンスキー政権を「キーウかいらい当局」と呼ぶことがある。
北朝鮮は第8回党大会以降、トウモロコシやジャガイモに代わって小麦や大麦の作付面積を増やし、住民の食文化の変化を促してきた。キム・ジョンウン(金正恩)総書記は2021年9月の最高人民会議第14期第5回会議の施政演説で、「全国的に小麦、大麦の作付面積を2倍以上に確保せよ」と具体的な目標を示したこともある。
ロシア料理だけでなく、さまざまな欧州料理が北朝鮮メディアを通じて継続的に紹介されている点も目を引く。今回の号には、プディング、フォンデュ、ラタトゥイユなど外国料理を説明する用語解説のコーナーも載った。
北朝鮮は2025年の雑誌でも「ジェラート・ワールドカップ大会」を紹介し、各国のジェラートを取り上げた。雑誌は、スイス組が火を通したウサギ肉をトウモロコシの生地で包む方法で料理を作り、サフランを使ったジェラートを添えたと伝えた。スペイン組は、オリーブ油とゼラチンを混ぜて固め、魚卵の形をした加工品を使ったと紹介した。
こうした動きは、北朝鮮が対外イメージを管理し、観光や接客の水準を高めるために外国料理の導入を広げている流れとも受け止められる。一部の階層や空間に限られるものの、食文化の変化は続いているという見方だ。
さらに、最近は若者を中心に味の好みが多様化している可能性も取り沙汰されている。北朝鮮は2022年以降、ほぼ毎年「小麦粉料理展示会」を開き、多彩な小麦粉料理を披露している。この場では主食になる料理だけでなく、パン、クッキー、ワッフル、ホットドッグなど、軽い後食や間食として楽しめる食品も紹介されている。
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