2026 年 6月 19日 (金)
ホーム政治「1人で行使できない国」からの脱却へ…韓国大統領が“戦作権回復”に本気、米国の36同盟国で唯一残された「防衛の歪み」

「1人で行使できない国」からの脱却へ…韓国大統領が“戦作権回復”に本気、米国の36同盟国で唯一残された「防衛の歪み」

3000トン級潜水艦「申采浩」を訪れ、備えを点検しているイ・ジェミョン(李在明)大統領=大統領府提供(c)MONEYTODAY

「自国の安全保障を自ら責任持って担える信頼できるパートナーこそ、米国が同盟に望む方向だ」

韓国のイ・ジェミョン(李在明)大統領は11日、イタリア国賓訪問を記念した現地紙とのインタビューでこう述べた。イ・ジェミョン大統領は「戦時作戦統制権(戦作権)の回復と国防投資を拡大している」として、自前防衛の必要性と意志を改めて強調した。

韓国政府の自前防衛政策は、世界5位圏の韓国軍事力という内部要因と、米国が進める同盟近代化という外部要因が結び付いた結果だ。戦作権の早期返還、K防衛産業技術を活用した先端軍事力強化、核推進潜水艦導入の議論も、自国の軍事力への自信と韓米同盟に基づく防衛能力の最大化の一環とされる。政府関係者は「自前防衛政策は、揺るぎない韓米同盟が新たに跳躍するためのキーストーンだ」と説明した。

イ・ジェミョン大統領の構想は「韓国は歴史上、かつてないほど強力な国防力を備えるようになった」という認識から出発している。イ・ジェミョン大統領は2025年10月の国軍の日記念式で、就任後初めて戦作権回復への意志を公に示した。韓国は現在、米国の36同盟国のうち、唯一戦作権を単独で行使できない国だ。

米国の軍事力評価会社グローバル・ファイヤーパワー(GFP)によると、2026年の韓国の軍事力は世界5位、北朝鮮は31位と評価される。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、2025年の韓国の武器輸出市場シェアは6.0%で世界4位だった。軍事力5位、防衛産業4位の自前防衛能力を備えているという評価だ。

一方で、北朝鮮の核など非対称戦力を除いた南北軍事比較は無意味だとの見方もある。ただ、核兵器は存在自体が強力な抑止手段である一方、実際の使用は米国と同盟国の軍事対応、国際的孤立、友好・中立国の離脱まで覚悟しなければならない最終選択肢に近い。核保有が通常戦力の兵力、兵器体系、指揮統制、産業基盤の格差をただちに相殺するわけではないとの指摘もある。

第6回韓米NCG(核協議グループ)会議で、核を含む米国の拡大抑止公約が再確認された点も注目される。北朝鮮の核は韓米拡大抑止で抑止力を補完し、通常戦力と指揮能力は韓国軍が主導的に強化する二重構造が、自前防衛論の現実的基盤だという説明だ。

トランプ政権も、同盟国や協力国が自ら防衛能力を備えるべきだとの立場を取っている。米国が2026年1月に公開した国家防衛戦略は、米軍が「核心的だが限定的な支援」を提供すると明記した。米国が「世界の警察」役割を縮小し、本土防衛とインド太平洋地域での中国抑止に集中する中、「1人で戦えるからこそ共に戦える」という論理が新たな韓米同盟の原則として定着しつつある。

国民の認識も変化している。世論調査機関チョウォンC&Iが5月16~18日に全国2012人を対象に実施した調査では、回答者の65.6%が戦作権転換に賛成した。2025年8月の同じ調査より10.1ポイント高い。

アン・ギュベク(安圭伯)国防相も、戦作権回復の議論が具体的段階に入ったと強調した。アン・ギュベク国防相は14日、KBSの番組で「2026年末になれば完全運用能力(FOC)検証評価をもとに両国大統領へ建議し、戦作権回復の目標年を決めることになる。戦作権がただちに戻っても韓国の安全保障に何の問題もないと自信を持って言える」と述べた。

現代戦の勝敗は軍事力だけでなく、前線の兵器体系を生産・補給できる国家経済力と産業基盤に左右される。2025年基準で北朝鮮の名目国内総生産(GDP)は約43兆7000億ウォン(約4兆8070億円)だった一方、韓国の同年の名目GDPは2556兆9000億ウォン(約281兆2590億円)、国防予算は59兆4000億ウォン(約6兆5340億円)だった。2026年の国防予算は65兆8642億ウォン(約7兆2450億円)に達する。韓国の防衛費だけで北朝鮮の国家経済規模を上回る。

韓国防衛産業の存在感も高まっている。SIPRIの世界100大防衛企業には、ハンファグループ、LIGネクスワン、韓国航空宇宙産業(KAI)、現代ロテムの4社が入った。韓国の武器輸出市場シェアは米国、フランス、イスラエルに続く世界4位で、防衛産業の収益が再び兵器体系の研究開発に投じられる好循環ができている。

GFPは2026年、韓国の国防力を145カ国中5位、北朝鮮を31位と評価した。韓国は兵力資源、陸軍、空軍、海軍、財政、輸送、地理など多くの細部指標で北朝鮮を上回る。自走砲は韓国が2780門で北朝鮮の2倍以上、けん引砲は5800門で北朝鮮の8倍以上だ。攻撃ヘリは韓国113機、北朝鮮20機、輸送機は韓国40機、北朝鮮1機と差が大きい。

北朝鮮は常備軍約132万人で韓国の約45万人を上回るが、予備軍動員力では韓国が310万人で世界3位とされ、北朝鮮の56万人を大きく上回る。GFPは核兵器やサイバー・ドローン戦力を評価に反映していないが、機動力、火力、精密打撃能力では韓国が北朝鮮を圧倒し、実質的な抑止力を備えているとの見方が出ている。

(c)MONEYTODAY

RELATED ARTICLES

Most Popular