
韓国政府の少子高齢化対策を担う「少子化高齢社会委員会」のチュ・ヒョンファン副委員長は、5月31日にソウル大学生活科学大学で開かれた「生活科学分野春季共同学術大会」に出席し、「超少子化・超高齢化社会における持続可能な介護の未来」について専門家らと意見を交わした。
この日の学術大会は「生活科学が描くケアの未来」をテーマに開催され、チュ副委員長は基調講演で韓国社会の人口構造危機と、それに対応するための政府の政策を紹介した。
特に焦点となったのは、ベビーブーム世代の高齢化に伴う介護ニーズの急増だ。韓国では現在(2025年)、75歳以上の人口が約430万人で全人口の8.3%を占めているが、2050年にはその数が1153万人(24.5%)にまで膨れ上がると予測されている。
このような急速な高齢化に対して、介護人材の供給は大きく不足すると見込まれている。2032年には38万~71万人、2042年には61万~155万人の人材不足が生じる可能性があり、介護現場の崩壊が懸念されている。
チュ副委員長は「欧米先進国の事例を踏まえ、国内外からの介護人材の育成・受け入れをより積極的に推進し、高齢者向けテクノロジー(Age-Tech)を活用して業務負担の軽減と生産性の向上を図るべきだ」と強調した。
さらに、子どものケアについても言及し、「保護者の選択権を尊重するかたちで、誰もがケアサービスにアクセスできるようにし、施設入所申請後には一定期間内にケアを受けられる権利を保障すべきだ」と述べた。
今回の学術大会は、急速な人口変化に直面する中で、国家としてどのように持続可能なケアシステムを築くかを探る場として位置づけられた。韓国社会が迫られる「高齢化の波」に対し、技術革新と制度改革の両輪での対応が急務となっている。
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