
韓国で学校暴力が教室からサイバー空間へと急速に移行している。学校暴力の予防を支援するNGO「プルンナム財団」が22日、位置追跡アプリやSNS、中古取引アプリを悪用した新型の「サイバーいじめ」の報告が相次いでいると警鐘を鳴らした。
「駅にいるの分かってる。近いよな?今すぐ来い」。これは高校生が同級生に位置追跡アプリをインストールさせ、監視と呼び出しを繰り返した実例だ。同級生は塾にいても自宅にいても逃れられない「デジタルな束縛」を強いられていた。
財団の学校暴力SOSセンター課長のキム・ソクミン氏は「位置情報アプリが、奴隷化の道具として使われている」と指摘した。
SNSを利用した匿名メッセージアプリ「NGL」もいじめの温床となっている。Instagramのストーリーなどにリンクを貼ると、誰でも匿名でメッセージを送信できるこのサービスを通じて、悪意あるメッセージや性差別的な言葉が投げつけられている。
中でも深刻なのは中古取引アプリ「タングンマーケット」を使った詐欺行為。加害生徒が被害生徒のアカウントで偽の販売投稿をし、購入希望者から代金を受け取っておいて商品を送らないという手口だ。
小中高校生約1万2000人などを対象に実施した調査では、3.1%が「学校暴力の被害を経験した」と回答。そのうち17%がサイバー暴力だったと訴えた。サイバーいじめによる被害を受けた生徒の47.5%が「自殺や自傷衝動を経験した」と答えるなど精神的な負担の大きさを物語っている。
その一方で、加害者の約80%が「プラットフォームからの制裁を受けなかった」としており、実効性のある措置が取られていない実態も明らかになった。
専門家は、法的整備とともに学校やプラットフォーム側の迅速な対応、そして被害者の心理的ケアを一体化した「デジタル暴力防止政策」の導入が急務だと訴えている。
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