2024 年 12月 24日 (火)
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先進国と5~10年の格差 [KWレポート] 量子技術 韓国のリアル (4)

韓国標準科学研究院が開発中の量子コンピュータ(写真=同研究院)(c)MONEYTODAY

量子技術の産業化需要の可能性は無限だ。

韓国国内の専門家は、量子技術先導国との格差を5~10年と見ている。また、量子通信とセンサーの分野はまだ韓国にも競争力があると評価している。

韓国科学技術情報通信省、韓国知能情報社会振興院(NIA)、未来量子融合フォーラムが昨年末に共同発刊した「量子情報技術白書」によると、国内はもちろん米国・ヨーロッパ・中国・日本には既に200社以上の企業が量子技術開発や商用化に突入した。

◇韓国の通信大手、主導権争い

量子通信市場は、2027年に21億ドル(約2732億円)以上になる見通しだ。量子通信分野では、韓国内外の主要通信会社間で主導権争いが激しくなっている。

韓国の通信大手SKテレコムは2011年、量子技術研究所である「クォンタムテックラボ」を設立した。2016年には量子キー分配(QKD)装備を活用し、68km級有線QKD国家試験網を実現した。

QKDは、量子力学法則を活用して送受信者だけが解読できる暗号キーを生成する物理的保安装置だ。2017年には5mm×5mmサイズの超小型量子乱数生成チップ(QRNG)などを開発した。またQRNGを搭載した「ギャラクシーAクォンタム」シリーズも2020年から販売している。

通信大手KTは、公共通信網量子暗号通信の適用に関し、2020年にNIAから発注した超連結知能型研究開発網(KOREN)事業に量子暗号通信網構築事業者に選定された。これを通じて韓国科学技術研究院(KIST)と共同研究を進め、ソウル都心の盤浦(パンポ)、江南(カンナム)、瑞草(ソチョ)、良才(ヤンジェ)と牛眠洞(ウミョンドン)を結ぶQKDネットワーク網を構成した。

通信大手LGユープラスは、量子耐性暗号(PQC)技術を保有している。PQCは、量子コンピュータでも長い期間がかかる複雑な数学的アルゴリズムを基盤に作られた暗号体系だ。

このような技術力を基にLGユープラスは昨年4月、PQC技術を活用したB2B(企業間取引)料金制を、同年7月にはKTとSKブロードバンドでQKD方式を活用した量子暗号通信B2B料金制を発売し、商用化の基盤を整えた。

この他にも、韓国電力は韓電電力研究院、ソンアムシスコム、IDQなどと共に2020年に忠南安眠変電所から泰安変電所間40km区間に量子暗号通信技術を適用した電力通信網を構築した。ウリィロ、EYLなどの中小企業は通信会社と連携し、関連核心部品の開発や輸出を進めている。

◇量子センサー市場、2027年には20億ドル以上

韓国電子通信研究院(ETRI)は、量子通信・センサー・コンピューターを全て開発できる政府出資研究機関だ。特に2020年には、常温で動作する量子インターネット(通信)技術を開発した。

量子インターネットは「もつれ」「重ね合わせ」のような量子力学現象を活用して量子データを伝達するインターネット技術だ。従来のインターネットよりデータ伝送のセキュリティを高め、計算能力を向上させることができ、次世代の情報通信インフラ技術といえる。

KISTは、量子暗号通信技術を重点を置いて開発中だ。量子暗号通信は、通信送信者と受信者の間で暗号キーを量子信号を利用して分配する技術だ。複製が不可能で盗聴や傍受を試みると、量子状態が変わり、直ちに感知することができる。最近、研究チームは量子暗号通信システムの核心部品である「量子干渉計」を半導体チップにすることに成功した。

量子センサー市場は2027年には20億3000万ドル以上になると推算される。特に量子磁場センサー(45.7%)と原子時計(30.6%)などを中心に市場が形成されるとみられる。

韓国標準科学研究院は2021年、量子磁場センサーを適用した「心磁気システム」(MCG)を医療機器専門企業AMCGに移転した。MCGは放射線と造影剤を使わず、患者の心臓疾患を診断する革新技術だ。

これは、心臓筋肉から発生する心筋電流が作り出す微細な生体磁場を測定する方式だ。

標準研は潜水艦に適用できる量子重力センサー技術も保有している。重力を測定し、水中でGPS(グローバル衛星航法システム)がなくても、方向を見出せる技術だ。既存の潜水艦は位置情報を確認するために周期的に水上を浮上しなければならなかったが、これを補完したものだ。

国防科学研究所(ADD)も量子センサーの一種である「原子スピンジャイロスコープ」を開発した。ジャイロスコープは回転運動を意味する「Gyro」と調べるという「Scope」が合わさった言葉だ。回転運動を測定するセンサーという意味だ。原子スピンジャイロスコープは、今後GPS(グローバル衛星航法システム)がない地域でも活用できる。また、技術が成熟すれば人工衛星にも搭載できる。

(つづく)

(c)MONEYTODAY

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