
北朝鮮が2026年、戦術・戦略ミサイルの多くを改良し、事実上の新型ミサイルを大量に導入したことで、これを綿密に分析しなければならない韓米情報当局の負担も大きくなっている。関連情報の入手と分析にかかる時間が大幅に増えただけでなく、最近は北朝鮮による弾道ミサイル発射の有無さえ正確に判断できなかったとの批判も出ている。
韓米は、北朝鮮が6月25日に「混ぜ撃ち」方式で発射した多連装ロケット砲、自走砲、短距離と推定される弾道ミサイルによる挑発の際、北朝鮮が弾道ミサイルを発射したかどうかを即時に判断できなかったとされる。当時、北朝鮮は弾道ミサイルに「特殊任務戦闘部」を装着したと主張し、このミサイルの射程を短く調整して発射したと推定される。
北朝鮮は通常、短距離弾道ミサイルを試射する際、射程を300~600キロ程度に調整して発射してきたが、今回の弾道ミサイルの射程はそれに大きく届かなかった可能性がある。韓米は射程300キロ以下の近距離弾道ミサイルや、事実上の弾道ミサイルである「超大型多連装ロケット砲」の発射時にも即座に識別してきたことから、北朝鮮軍が今回の挑発で弾道ミサイルと推定される発射体の射程を、大口径多連装ロケット砲240ミリの射程水準である約70キロ前後に調整した可能性もある。
政府は、北朝鮮の弾道ミサイル発射について、ほぼリアルタイムで報道機関に知らせる方式で発表している。これは対北朝鮮監視能力を示す意味もあるが、北朝鮮の弾道ミサイル発射が国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議違反にあたるため、公表し記録する意味もある。一方、制裁対象ではない大口径多連装ロケット砲や自走砲など、非弾道ミサイルの発射時には別途発表していない。
こうした点から、北朝鮮が6月25日に発射を主張した弾道ミサイルの諸元に対する韓米の判断に時間がかかっている理由は「短い射程」にあるとの分析が出ている。射程が短くなれば発射角度も変わるため、多連装ロケット砲などと混ぜて撃つ場合、韓米の初期判断に混線を生じさせる余地がある。北朝鮮が近年、多量・多種のミサイルを一度に発射する挑発を好む理由も、韓米の混乱を狙った戦略的判断によるものとの見方が支配的だ。
こうした動きは2026年に入ってさらに明確になっている。北朝鮮は4月6~8日に「重要兵器体系試験」を進めたとして、短距離弾道ミサイル「火星11カ」に「散布戦闘部」を装着したと主張した。散布戦闘部は、一つの弾頭の中に多数の子弾を入れた集束弾で、爆発時に子弾が四方に広がり、広い地域を攻撃できる兵器体系だ。従来の高性能爆薬弾より広範囲に被害を与え得る。
北朝鮮は散布戦闘部のほか、炭素繊維模擬弾を装着したミサイルも発射したと主張した。炭素繊維弾は相手の電力網を破壊する非殺傷兵器体系で、「停電爆弾」とも呼ばれる。空中で弾頭が爆発するとニッケル・炭素繊維が放出され、送電線や変圧器に付着して電力系統を損傷させる方式とされる。
北朝鮮は4月19日にも近距離弾道ミサイルに集束弾を装着して試射し、5月26日にも具体的な弾頭の種類を明かさない特殊任務弾頭搭載の弾道ミサイルを発射した。
さらにこの時は、「超精密自律航法体系」と「地形照合航法体系」を組み合わせて飛行効率を高め、「人工知能(AI)終末誘導機能」を導入して命中率と主要標的への的中率を高めた巡航ミサイルも初めて発射するなど、北朝鮮は随時、改良型ミサイルの威力を誇示している。
北朝鮮が導入した技術は「存在しない技術」ではないが、これまで保有していなかった技術が多数公開され、韓米情報当局も神経をとがらせている。最近、北朝鮮情報分析部門では、北朝鮮の動きが速く分析が容易ではないとの声も出ているという。
6月25日の北朝鮮の挑発時に、即時の「弾道ミサイル発射」発表がなかったことで、一部では韓米間の情報共有制限問題が、北朝鮮のミサイル関連動向把握にも影響したのではないかとの懸念も出た。チョン・ドンヨン(鄭東泳)統一相の「構成核施設」発言を受け、米国が対北朝鮮情報共有を一部統制している影響ではないかという意味だ。
政府は、北朝鮮の軍事動向に関する韓米の協力は、対北朝鮮情報共有制限とは別の事案だとの立場だ。6月25日の発射については、北朝鮮が弾道ミサイルではない発射体を弾道ミサイルのように装う「欺瞞戦術」を展開した可能性も慎重に提起されている。
しかし、北朝鮮が改良型新兵器を「対韓国用」として開発し、南北接境地に大量に実戦配備すると公表したことに加え、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記が新たに建設したウラン濃縮施設まで視察した事実を公開するなど、北朝鮮の核・ミサイル能力は高度化し続けており、韓米にも「新たな次元の協力」が必要ではないかとの指摘が続いている。
特にトランプ第2期政権が、在韓米軍の対北朝鮮抑止能力の一部を中国けん制に使うという「戦略的柔軟性」政策を進めており、こうした指摘と懸念の声はさらに大きくなっている。
今後も北朝鮮は、軍事挑発などで「混線戦略」を続けるとみられる。キム総書記は6月25日のミサイル挑発時、「できるだけ最短期間内に、わが武力の長距離打撃手段が更新型に交代・配備されたことを敵に知らせる」と述べた。
通常、長距離ミサイルは米本土を攻撃する大陸間弾道ミサイル(ICBM)や、グアムなどを狙う極超音速ミサイルを含む中距離弾道ミサイル(IRBM)などを指してきたため、「対韓国用」長距離打撃手段が何を意味するのかについてはさまざまな見方が出ている。キム総書記の発言そのものが、韓米の分析が一つの地点に収れんすることを妨げるための戦略だとの見方も出ている。【news1 キム・イェスル記者】
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