2026 年 7月 4日 (土)
ホーム社会韓国で広がる公衆脅迫、爆破予告から有名人殺害予告まで手口が変化

韓国で広がる公衆脅迫、爆破予告から有名人殺害予告まで手口が変化

BTSのカムバック公演当日の21日、ソウル鍾路区光化門広場で警戒勤務に当たる警察特攻隊(c)NEWSIS

韓国で2025年、ネット上の「公衆脅迫犯罪」に対する警察の大規模な一斉摘発が実施され、一時は沈静化したかに見えた。だが、それが再び頭をもたげている。かつては10代によるいたずらや自己顕示欲に端を発した犯行が中心だったが、最近は特定の機関や著名人、政治的象徴を狙った脅迫へと変貌。新たな形の社会的リスクに発展しているとの懸念が強まっている。

韓国国会行政安全委員会所属の与党「共に民主党」チェ・ヒョニル議員が警察庁から提出を受けた資料によると、2025年3月の公衆脅迫罪の施行後、関連犯罪は急速に増加した。2025年3月に1件だった発生件数は、4月に9件、5月に15件、6月に18件と増加を続け、7月には27件に急増。その後も年末まで毎月2桁の発生が続いた。

2026年に入っても、不特定多数を狙った無差別殺傷や爆破の予告などは後を絶たない。今月25日にはインターネットのコミュニティーサイトに「水原地裁に高性能爆薬の設置を完了した」との投稿があり、警察の特攻隊や爆発物処理班(EOD)が緊急出動する騒ぎがあった。実際の爆発物は見つからなかったが、警察は万一の事態に備えて裁判所周辺の警戒を強化した。

最近の特徴は、成均館(ソンギュングァン)大学での殺傷予告や警察署の武器庫奪取脅迫のほか、プロゲーマー「フェイカー」への殺害予告、人気グループ「BTS」の公演会場への放火予告など、特定の施設や人物を狙った個別の脅迫事件が続発している点だ。警察庁関係者は「2025年は通信アプリ『ディスコード』などを使った大規模な一斉脅迫が目立ったが、今は類型が変わった。体感上の発生規模は2025年と同水準だ」と明かす。

脅迫の通報が入ると、警察は特攻隊や機動隊などを現場に投入する。これと並行して捜査部門が投稿者のインターネット・プロトコル(IP)アドレスの追跡などに着手する。大半は虚偽の脅迫で終わるが、警察は万一の状況に備えざるを得ず、多くの人員が繰り返し投入されることで莫大な社会的費用が発生している。

このため警察は刑事処罰とは別に、民事での損害賠償請求にも乗り出している。学校への爆破脅迫を繰り返した容疑者に7164万ウォン(約788万円)の損害賠償を求めたほか、高校の爆破予告や光化門(クァンファムン)での公演妨害を予告した人物らに対しても、それぞれ数百万円から数十万円規模の賠償請求訴訟を起こした。

ただ、こうした対策も犯罪抑止には限界があるとの指摘がある。実際の賠償額が少額にとどまるケースが多く、刑事裁判でも初犯を理由に起訴猶予や執行猶予処分となる事例が少なくないためだ。東国大のイ・ユンホ名誉教授(警察行政学)は「『公衆脅迫をすれば必ず検挙され、厳罰に処される』という認識が定着しなければ抑止効果は生まれない。軽い処分が繰り返されれば、警戒心を持ちにくくなる」と警鐘を鳴らす。

専門家は、犯罪が繰り返される背景としてオンライン空間の特殊性も指摘する。湖西大のコ・インソク教授(法警察行政学)は「最近は政治的・社会的な対立と結びつき、個人の不満を表出する手段に変わっている。ネット上は似た傾向の人が集まりやすく、模倣犯罪が急速に広がりやすい構造のため、処罰だけでは限界がある」と分析。「予防や教育、社会的な対応体系をあわせて整える必要がある」と提言している。

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