2026 年 6月 2日 (火)
ホーム政治充填・除去・そして洗浄…韓国のミサイル中核拠点「ハンファ大田事業所」で繰り返される高リスク工程の闇

充填・除去・そして洗浄…韓国のミサイル中核拠点「ハンファ大田事業所」で繰り返される高リスク工程の闇

1日午前10時59分ごろ、韓国大田市儒城区外三洞のハンファエアロスペース大田事業所で火災が発生し、消防車両が現場へ向かっている(c)news1

韓国大田市のハンファエアロスペース事業所で、再び固体燃料エンジン関連の大型爆発事故が発生し、ロケット推進体の生産工程に潜む構造的な危険性と安全管理の問題が改めて焦点となっている。今回の事故は、2018年と2019年に続き、ハンファ大田工場で発生した3件目の大型死亡事故だ。

ハンファエアロスペースと消防当局などによると、1日午前10時59分ごろ、大田市儒城区外三洞のハンファエアロスペース大田事業所56棟の洗浄工程室で爆発と火災が発生した。この事故で作業員5人が死亡し、2人が負傷した。負傷者のうち1人も全身にやけどを負い、重篤な状態とされる。

消防当局は、固体推進体(固体燃料)関連の装備を洗浄する過程で、原因不明の爆発が起きたとみて詳しい経緯を調べている。

今回の事故で注目すべきなのは、単なる偶然とは見なしにくいほど似た事故が繰り返されている点だ。

同事業所では2018年5月、ロケット推進容器に固体燃料を充填する途中で爆発が起き、作業員5人が死亡した。続いて2019年2月には、ロケット推進体から燃料を除去する「離型工程室」で爆発事故が発生し、3人が死亡した。同じ事業所で起きた燃料・推進体関連の爆発事故で、計13人が死亡したことになる。

事故が起きた工程はそれぞれ異なるが、共通点もはっきりしている。2018年は固体燃料の充填過程、2019年は固体燃料の除去過程、今回は固体燃料注入後に使用された装備を洗浄する過程で事故が発生した。

いずれも固体燃料に関わる作業過程で起きた事故であることから、大きな事故を経験しても、ロケット推進体生産工程全般の危険性に対する対策を十分に整えられなかったのではないかとの批判も出ている。

過去には米国でも、ロケット用固体燃料の生産・整備工程中に大型爆発事故が発生している。1987年、モートン・チオコールの工場では大陸間弾道ミサイル(ICBM)用固体燃料工程中に火災が起き、5人が死亡した。2003年にはプラット・アンド・ホイットニーの宇宙推進施設でも、固体燃料混合施設の補修作業中に爆発が起き、1人が死亡した。

特に2003年の事故当時、施設内部には燃料がなかったものの、調査過程で設備に残留燃料が付着していた可能性が指摘されており、今回のハンファエアロスペース事故と類似点があるとの見方も出ている。

固体燃料はミサイルとロケットの中核動力源で、外形上は固体だが、粘性と接着力が非常に強い火薬成分の物質として知られている。

このため、燃料を容器に充填した後も、配管やバルブ、容器、工具などに残留物が残り、これを洗浄するための別工程が必要になる。防衛産業界では、燃料の充填、除去、洗浄などすべての過程が火災と爆発の危険を伴う高リスク工程に分類される。残留推進体や微細粒子、静電気、火花など小さな要因も爆発につながる可能性があるためだ。

大田事業所は、国防科学研究所(ADD)の推進体生産施設をハンファが1987年に引き継いで運営してきた場所だ。現在もミサイルとロケット推進機関を開発・生産する国家中核の保安施設とされる。

長距離地対空誘導兵器「L-SAM」や多連装ロケット「天橆」などに使われる推進体の生産、燃料の混和・充填工程もここで実施されているとされる。

国防力に直結する高度な兵器体系を開発する場所であり、高い保安が求められる施設であることから、一部では過去2回の事故にもかかわらず、安全点検などが十分に実施されなかったのではないかとの見方も出ている。

(c)news1

RELATED ARTICLES

Most Popular