
韓国のスターバックス・コリアが実施したプロモーションを巡る騒動の余波で、韓国南西部の光州市にある百貨店「光州新世界」が対応に苦慮している。経営構造上、騒動の当事者である新世界グループのチョン・ヨンジン(鄭溶鎭)会長とは無関係であるにもかかわらず、グループ名が共通していることから地元世論の批判を浴びており、進めている大規模開発事業への悪影響を懸念する声が出ている。
光州新世界の店舗前では20日以降、1980年の民主化運動「5・18光州事件」の関連団体や市民団体による抗議の記者会見が相次いでいる。団体側は、スターバックスが戦車を連想させる「タンクデー」などの文言を用いて光州事件を侮辱したとして、鄭会長の辞任を求めている。チョン・ヨンジン会長が過去にもSNSなどで「滅共」と発言し、物議を醸してきた経緯も批判を強める要因となっている。
しかし、関係者によると、スターバックスと光州新世界は運営構造上、直接の関係はない。スターバックス・コリアの運営法人は、ディスカウントストア大手の「イーマート」が筆頭株主の系列会社だ。新世界グループは2024年に「イーマート部門」と「百貨店部門」の系列分離を公式発表しており、イーマート部門はチョン・ヨンジン会長が、百貨店部門は妹のチョン・ユギョン総括会長がそれぞれ独立して運営している。
光州新世界にはチョン・ヨンジン会長の株式持ち分はなく、チョン・ユギョン氏が率いる「新世界」が最大株主(65.5%)となっている。光州市の関係者も「スターバックスはチョン・ヨンジン氏、光州新世界はチョン・ユギョン氏の事業。同じ『新世界』の名がついているだけで結びつけるのは適切ではない」と指摘する。
困惑する光州新世界が最も懸念しているのが、現在進めている「光川ターミナル複合化事業」への影響だ。同社は約200室規模の高級ホテルや展望台などを備えた複合ショッピングモールを建設し、地域のランドマークとする計画を立てている。
事業は現在、光州市による交通影響評価の審議段階で足踏み状態にあり、許認可手続きの遅れが懸念されていた。そこに今回の騒動が重なったことで、市民感情の悪化から事業がさらに停滞すれば、地域経済にも打撃になりかねない。
光州新世界は、韓国の流通大手としては初めて現地法人として進出し、31年間で計3300億ウォン(約363億円)の税金を納めるなど地域経済を支えてきた。また、計3000人以上に約35億ウォンの奨学金を支給するほか、国際美術展「光州ビエンナーレ」を後援するなど文化支援(メセナ)活動にも力を入れており、関係者は「事実誤認による反発がこれ以上広がらないことを望む」としている。
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