
韓国軍当局がサイバー作戦司令部の第1作戦団長を大佐級から准将級に引き上げ、サイバー安全保障能力の強化に乗り出した。物理的衝突なしに敵の神経網をかく乱し、核・ミサイル脅威を先制的に遮断する「ソフトキル」の戦略的価値が高まる中、サイバー安全保障の枠組みを「攻勢的防御」へ再編する意思とみられる。
国防省が国会国防委員会所属の野党「国民の力」カン・デシク議員室に提出した資料によると、サイバー作戦司令部は2026年から第1作戦団長の職位を大佐級から准将級へ改編して運用している。変更された階級は次期人事発令時に反映される予定で、准将と少将が交互に就いていたサイバー作戦司令官の職位は、少将級に固定される可能性が高まった。現サイバー作戦司令官はペ・ソンヨン陸軍准将だ。
こうした編制上方修正は、2024年に改定された国家安保室の国家サイバー安保戦略改定案に基づくものだ。国家サイバー安保戦略の最上位指針であるこの戦略書は5年周期で策定され、直前の2024年改定案は、敵のサイバー脅威を先制的に識別し無力化する「攻勢的防御」に焦点を当てている。サイバー作戦司令部第1作戦団は、このような能動的防御戦略を最前線で駆使する作戦部隊として知られている。
第1作戦団の拡大編制は、現代戦で非物理的打撃体系が未来戦場の成否を分ける核心戦力になったことと無関係ではないとの分析が出ている。指揮統制システムと武器運用体系ソフトウエアが密接に連携した現代戦では、電波かく乱や信号妨害・操作だけでも、通常兵器を容易に無力化できるためだ。
北朝鮮の核攻撃をサイバー・電磁戦攻撃で事前に遮断する米国の「発射の左側」システムが代表的な事例とされる。2016~2017年に北朝鮮が複数回発射を試みたものの失敗したムスダン中距離ミサイル試験発射についても、米紙ニューヨーク・タイムズなど海外メディアはその背後に「発射の左側」作戦を指摘したことがある。
国防省が2025年に国会へ業務報告した内容によると、軍当局は2023年1月に韓国型「発射の左側」の開発に正式着手し、2025年末に用語概念を定立した後、関連新技術の適用方法や必要武器体系の検討などを進めているとされる。北朝鮮の核・ミサイル脅威が高度化する中、「キルチェーン」など既存の物理的打撃だけでなく、サイバー・電磁波などを含む発射抑止概念を発展させる構想だ。
カン・デシク議員は「北朝鮮の核・ミサイルを発射後に迎撃するだけでは限界があり、最も効果的な防御は発射そのものを防ぐことだ」とし、「キルチェーンの一環であるサイバー・電磁波基盤の『発射の左側』能力を、韓国型抑止戦略の核心軸に発展させるべきだ」と提言した。
サイバー・電磁戦の主要兵器として挙げられる停電弾、非核電磁パルス弾(EMP)も技術開発は最終段階に近づいたとされる。停電弾は航空機から投下され、爆発時に微細な炭素繊維をまき散らして送電塔などに付着する。敵の電力網や挑発の原点をまひさせるのに効果的だ。
停電弾は2020年11月、国防科学研究所の主管で体系開発を終え、現在は量産着手段階に入っている。開発には約623億ウォン(約68億5000万円)の予算が投じられ、2027年から1年間で約793億ウォン(約87億2000万円)をかけ、本格的な物量確保に乗り出す方針だ。
国防科学研究所主導で開発中のEMPは、大きく二つの方式で攻撃する。一つは小型化されたEMP装置を航空投下弾、巡航誘導弾、無人機などの空中プラットフォームに搭載し、地上標的を無力化する方式で、もう一つは高出力電磁波技術でドローンや無人機など敵の飛行体を機能停止状態にする方式だ。
前者について、国防科学研究所はEMP発生装置の開発や小型化など、兵器の所要に必要な技術開発を2025年12月に終えたが、中期計画に転換されておらず、細部の所要や予算などは決まっていない。後者については高出力電磁波技術開発が進んでいるか、2026年中に着手される予定で、軍当局は今後、搭載体開発計画や作戦運用性能などを考慮し、EMP搭載攻撃無人機など多様な武器体系を発展させる計画だ。
LIGネクスワンが進めている電子戦機も、2025年から1兆9205億ウォン(約2113億円)を投じ、2034年を目標に体系開発が進められている。電子戦機は遠距離からジャミングなどの電子攻撃を加え、敵の統合防空網体系や無線指揮統制体系を無力化する兵器で、2026年1月に体系開発事業に着手した。
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