2026 年 5月 5日 (火)
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韓国・校外学習の費用と責任の不均衡が浮上…保護者負担と教師責任の構造問題

済州国際空港のバス専用駐車場に並ぶ修学旅行用の貸し切りバス(c)MONEYTODAY

韓国で校外体験学習の拡大を求める声がある一方、費用は保護者が負担し、事故時の責任は教師に集中する構造が問題視されている。

ソウルの小学生の保護者によると、2025年に実施された日帰りの体験学習では、京畿道近郊の農場訪問に7万ウォン(約7700円)がかかった。内訳は体験プログラム費2万4000ウォン(約2600円)、交通費3万5000ウォン(約3800円)、安全要員の人件費1万1000ウォン(約1200円)だった。保護者は団体活動としての意義には理解を示しつつも、個人で訪れる場合より費用が高い点に疑問を示した。

教育省は安全事故防止のため安全要員の配置を勧告しているが、その費用の一部が保護者に転嫁されている実態が明らかになった。背景には市・道教育庁の支援不足がある。一方で、事故が発生した場合の最終的な法的責任は教師が負う仕組みとなっており、経済的負担と法的責任の分離が指摘されている。

ソウル市教育庁は2026年、補助人員や安全要員の支援予算として約10億ウォン(約1億1000万円)を編成したが、1学期中に全額を使い切った。2025年には当初14億ウォン(約1億5400万円)が計上されたが、市議会の審議で約30%削減された。

現在の支援は小学校の1日型体験学習に限定され、中学校や高校は対象外となっている。小学校でも、学級ごとに補助人員1人、学年ごとに安全要員1人という基準にとどまり、推奨される「児童・生徒50人当たり1人以上」の配置には届いていない。

安全要員は救急救命士や消防、警察などの資格を持つ人材を指し、補助人員は一定の教育を受ければ大学生なども参加可能とされる。

推奨基準通りに安全要員を配置しようとすれば、教育庁の支援だけでは費用が不足し、多くの学校が保護者負担に頼らざるを得ない状況にある。

さらに問題となっているのは、十分な安全要員を確保しても、事故時の責任が教師に集中する点だ。2022年に江原道束草のテーマパークで小学生が死亡した事故を巡り、教師が業務上過失致死の罪で有罪判決を受けたことで、現場の萎縮が強まった。

教職員団体は、教師個人に刑事責任を問う構造が続く限り、体験学習の正常な実施は難しいと指摘している。

韓国政府と教育省は、体験学習の活性化に向け、教師の免責範囲拡大や補助人員の拡充、業務負担の軽減などを進める方針だ。イ・ジェミョン(李在明)大統領は、遠足や修学旅行も授業の一環であるとし、必要に応じて人員を追加し安全対策を強化すべきだとの考えを示した。

大統領府は、教師を安全事故からより厚く保護し、本来の教育活動に専念できる環境整備を進めるため、具体的な法改正を準備していると説明した。

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