
韓国政府が、北朝鮮を「朝鮮民主主義人民共和国」という正式国号で呼ぶため、公の場で議論する動きを見せている。
韓国政治学会は4月29日、ソウルのプレスセンターで「平和共存のための呼び名――北韓か、朝鮮か」をテーマに特別学術会議を開いた。統一省は、民間学術会議を通じて関連議論を公論化する趣旨で、この会議を後援した。
この日の会議には、キム・ナムジュン統一省次官も出席した。ユン・ジョンビン韓国政治学会長が開会の辞を述べ、権万学慶熙大学名誉教授が司会を務めた。キム・ソンギョン西江大学教授、クォン・ウンミン弁護士、イ・ドンギ江原大学教授らが発表者として参加した。
キム・ナムジュン次官は祝辞で「相手の実体を認め、尊重する言語が制度的に支えられてこそ、対決の悪循環を断ち、平和共存の空間を広げることができる」とし、「こういう時ほど、不信を育てる言葉ではなく、緊張を下げる信頼の言葉が必要だ」と強調した。
キム・ソンギョン教授は「北韓(韓国での北朝鮮の呼称)」という呼称自体がすでに政治的に偏った言葉だと指摘した。「『北韓』は1950年以降、国家保安法や反共イデオロギーの文脈の中で、敵対、脅威、嫌悪が幾重にも積み重なった非中立的な用語だ」とし、「相手を朝鮮半島の一部に還元し、国家性を暗黙に否定する効果も持つ」と主張した。
キム・ソンギョン教授は特に「『北韓』という呼称を維持することが、この80年間、統一を早めたり分断の固定化を弱めたりした証拠はない。むしろ不要な対決を強め、分断体制を再生産してきた」と批判した。一方、正式国号である「朝鮮」または「朝鮮民主主義人民共和国」の使用は「相手をありのまま認める行為であり、関係再設定の出発点」になり得るとの考えを示した。
「朝鮮」という呼称が北朝鮮体制のイデオロギーを受け入れる結果につながり得るとの反論について、キム・ソンギョン教授は「『朝鮮』は北朝鮮が作り出した名前ではなく、朝鮮半島の歴史で500年以上使われてきた名称だ」とし、「『韓国』が『大韓民国』の略称であるが、それを使うことを大韓民国体制を受け入れるイデオロギー的行為とは見ないのと同じだ」と反論した。
北朝鮮の正式国号使用に関する法的争点を発表したクォン・ウンミン弁護士は、正式国号の使用が憲法違反や北朝鮮を国家として承認する結果に直結するわけではないと強調した。
クォン・ウンミン弁護士は「政府が北朝鮮を『朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)』と表記するとしても、北朝鮮を国家として承認したり、外交関係の樹立が自動的に成立したりするわけではない。国号使用は表記、識別、文書記述の問題だ」と説明した。
韓国の領土を朝鮮半島全体と定める憲法第3条の領土条項との衝突を懸念する声についても、クォン・ウンミン弁護士は「領土条項は平和統一が実現した統一韓国の領域範囲を意味する宣言的規定と解釈できる」と主張した。むしろ憲法第4条の平和統一条項が定める「緊張緩和と信頼構築措置」のため、北朝鮮の国号表記が一つの方法になり得るとの見方を示した。
また、1991年の南北基本合意書と、その後の南北当局間合意書の署名欄に「朝鮮民主主義人民共和国」という国号が使われてきた点から、「国号使用は前例のない急進的な変化ではない」とも主張した。
国際慣行とのずれも主な争点として取り上げられた。1991年の南北同時国連加盟以降、国際社会では「DPRK」という正式国号が一貫して使われているが、韓国内だけで「北韓」という非対称的な呼称が維持されているという指摘だ。
キム・ナムジュン次官はこの日、政府が北朝鮮の公式国号表記や呼称を急ぐことはないと述べた。「憲法秩序、南北関係の特殊性、国内法制、国際慣行、国民的共感が総合的に考慮されなければならない」と語った。
一方で、キム・ナムジュン次官は東西ドイツの事例を比較モデルとして示した。「東西ドイツも1972年の基本条約を契機に互いの実体を認め、国号を公式に使いながら交流・協力を拡大した」とし、「呼称変更が直ちに分断の固定化を意味するわけではない」と強調した。
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