
韓国・仁川市東区ベダリの古書店通りで26日午後、150人を超える市民が一列に並び、人から人へと本を渡す“人間リレー”で本を運ぶ光景が広がった。大学生や主婦、地元商店主など多様な人々が参加したのは、独立書店「ナビナルダ(蝶が舞う)書店」の引っ越しプロジェクトのためだ。
書店は旧・東城韓医院の建物から約280メートル離れた別の建物へ移転。トラックを使わず、人の手で本をつないで運ぶ方法が選ばれ、約1万冊の本が路地を通って新しい場所へと運ばれた。
作業は終始にぎやかな雰囲気の中で進んだ。本を落とすと「落としたら買い取りですよ」と冗談が飛び、「じゃあ私が買います」「いい本に当たりましたね」と笑いが広がるなど、見知らぬ人同士も自然に言葉を交わし、温かな空気が生まれた。
開始当初は参加者同士の間隔が4~5メートルほど空いていたが、約20分で1~2メートルに縮まり、作業は効率的に進んだ。本は次々と運ばれ、新しい書棚が徐々に埋まっていった。
近隣に住む女性は、SNSで知り休暇を取って参加したとし、同じ関心を持つ人が多く雰囲気が良いと話す。常連客の若者も、想像以上に大変だが書店の新しい姿が形になるのがうれしいと語った。
また、1995年に同じ地域で書店を移転した際、学生たちの人間リレーに助けられた経験を持つ書店主は、当時を思い出して感慨深いとし、今も助け合いが続いていることへの喜びを語った。
今回の試みは、書店代表が1万冊の本を一人で運ぶ難しさに直面したことをきっかけに企画された。単なる引っ越しではなく、お金ではなく人との関係で課題を解決できるかという試みでもあった。
企画者は、海外で市民が人間リレーで書店を移転した事例を参考にしたとし、当初は100人を想定していたが結果的に150人が集まったと説明する。
参加者の名前は書店のガラスに刻まれ、今後は利用時に書籍代の割引特典も受けられるという。
地域のつながりと善意が形となった今回の引っ越しは、効率だけでは測れない価値を示す出来事となった。
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