
「10年前、アルファ碁と対局した時、私は大きな“壁”を感じました。どんな手を打っても絶対に勝てないという絶望感があったからです。しかし今日、(開発者でもない)私が言葉を少し伝えただけで20〜30分で作ったプログラムが、10年前のアルファ碁を超えたように感じます」
韓国の元プロ囲碁棋士のイ・セドル九段が、アルファ碁との歴史的対局から10年後、再び囲碁AIの舞台に立った。
この日、イ・セドル九段はAIスタートアップ「インヘンス」と協力し、音声による指示だけで囲碁AIを作成し、その場で実演した。
囲碁AIを作るのにかかった時間はわずか23分。イ・セドル九段はデモ対局を終えた後、「少なくとも10年前のアルファ碁のレベルは超えている」と評価した。
インヘンスとイ・セドル九段は9日、ソウル市光化門のフォーシーズンズホテルで「新時代の始まり(New Era Begins):エージェント型AIの時代」をテーマにイベントを開催し、エージェント型AIの機能を公開した。
イベント冒頭では、イ・セドル九段とインヘンスのイ・スンヒョン代表が対談形式で進行。イ・セドル九段が「ユア(YuA)」と名付けたエージェント型AIは、会話内容を記録して議事録を作成し、文脈を理解して結論を導く推論能力を披露した。
特に会話内容をもとに、このAIは「囲碁ゲームアプリを一緒に企画してみよう」と提案した。
イ・セドル九段がそのまま企画を依頼すると、AIは世界の囲碁トレンドや開発資料、教育資料などに関するリサーチを開始。わずか4分で調査をまとめた。通常、外部機関を通じて調査を依頼すると数カ月から1年ほどかかることもある作業だが、AIは数分で完了させた。
AIは調査結果をイ・セドル九段独自の「オントロジー」に反映し、追加の要求事項を質問。イ・セドル九段がいくつか条件を加えると、それを反映した企画書を作成した。
さらに「このまま進めてほしい」と指示すると、ゲームデザイン案からソースコード開発まで完了。完成までにかかった時間はわずか9分だった。
この日のハイライトは、イ・セドル九段が自ら臨んだ囲碁AIとのデモ対局だった。
教育機能も搭載されており、最初の一手からAIが丁寧に解説する様子が印象的だった。
世界的棋士であるイ・セドル九段に対してもAIは「とても上手に打っています。勇気を持って次の一手を打ってください」と助言し、会場の笑いを誘った。
デモ終了後、イ・セドル九段は「私が少し話しただけでプログラムが完成し、このレベルの囲碁AIアプリができたことが信じられない。現存する最高レベルのアプリかどうかは分からないが、少なくとも10年前に対局したアルファ碁のレベルは超えている。人間が勝つのは難しいレベルだ」と評価した。
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