2025 年 12月 3日 (水)
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[KWレポート] 「12.3非常戒厳」から1年…韓国社会の覚醒と政治改革の現在地 (1)

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2024年12月3日の「非常戒厳事態」から1年が経過した。市民の力によって戒厳令は阻止され、民主主義は回復し、経済も徐々に再建の道を歩みつつある。歴史的な悲劇の再発を防ぐため、その記憶を振り返りつつ、12.3が残した課題を再確認する。

2024年12月3日に宣布された「非常戒厳」は、国民に強い政治的効力感(ポリティカル・エフィカシー)を残した。親衛軍事クーデターの試みを市民が阻止し、国会が即時に戒厳を解除した光景は、韓国の民主主義史に残る象徴的な瞬間として刻まれた。

さらに、軍人や公務員が不当な命令に抵抗できる「命令拒否権」の保障もまた、12.3事件の重要な遺産となった。これらの制度は、今後同様の暴走を防ぐ抑止力として期待されている。

一方で、事件の背景となった「帝王的大統領制」や、深刻な政治的対立構造は依然として解消されていない。政治的権限の分散や、分極化した政治構造を克服するための憲法改正や法制度の見直しが急がれている。

長安大学のパク・チャンファン特任教授は「物理的衝突なしに政権交代が実現したプロセスは、国民にとって誇りうる歴史的成果である。その過程は、当時街頭で『光の革命』を主導した若者たちにとって、世代を超えて記憶される指標となるだろう」と語った。

また、政治社会研究所のソ・ヨンジュ所長は「12.3事態を阻止し、憲法を守ったこの1年は、偉大なる国民の力によって可能だった。1周年にあたっては、その市民の力に改めて敬意を表すべきだ」と述べた。

政府は再発防止策として、軍人や公務員に対する命令拒否権の制度化に着手している。国防省は、「上官の違法な命令に対しては拒否できる」とする条項を新設する内容の軍人基本法改正案に賛同の意を示し、軍に対する憲法教育の義務化も合わせて提案した。

さらに、人事革新処と行政安全省は、現行の国家公務員法・地方公務員法における「服従義務」を「指揮監督に従う義務」へと修正し、違法な命令については従わないことを明記する法改正を立法予告した。

ただ、根本的な再発防止には、帝王的大統領制からの脱却と、過度な政治的対立構造の是正が不可欠であるとの指摘も多い。

国会立法調査処のイ・グァンフ所長は次のように強調する。「今回のような危機を生んだ政治的分断をどう緩和するかについて、改憲や選挙制度の改革を含む議論と合意が必要だ。権力構造や選挙制度改革の必要性は10年、20年前から繰り返し叫ばれてきたが、議論の先送りが結果的に12.3事態を招いた。市民社会と国民の改革への期待に、政治界が真摯に応えなければならない」

具体的な制度改革案としては、首相の内政権限を拡大する「責任首相制」や、大統領と首相が権限を分担する「二元行政体制(セミ・プレジデンシャル)」などが浮上している。また、政治的分断を緩和するために中選挙区制の導入による多党制の定着も提案されている。

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