2026 年 5月 19日 (火)
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韓国・江南駅女性殺害から10年、日常で繰り返される無差別犯罪への恐怖 [韓国記者コラム]

江南駅女性殺害事件10周忌の追悼パフォーマンス(c)NEWSIS

2016年5月、ソウル江南駅近くの公衆トイレで、20代女性が面識のない男性に殺害された。事件直後、江南駅10番出口には「女性だから殺された」「誰もが被害者になり得る」と書かれたポストイット数万枚が貼られた。市民は、誰もが日常の中で被害者になり得るという恐怖を共有した。

それから10年が過ぎた。だが、恨みの関係がない不特定多数を狙った異常動機犯罪は、いまも繰り返されている。地下鉄駅、帰宅途中の道、公園など、平凡な日常空間が犯罪現場になり、市民の間では「どこにいても安全だと感じにくい」という不安が高まっている。

今月5日には光州広域市で、道を歩いていた女子高校生が、初めて見る20代の男が振り回した刃物に刺され、死亡する事件が起きた。被害者を助けようとした男子高校生も大けがをした。

これに先立ち、2022年にはソウル地下鉄新堂駅の女子トイレで、駅務員の女性がストーキングしていた元同僚に殺害された。2023年にはソウル冠岳区新林洞の公園付近で、女性が性的暴行を受けた後に死亡する事件もあった。

特に女性たちは、深夜の帰宅路や公衆トイレのような日常的な空間さえ警戒するようになったと口をそろえる。

ソウル麻浦区に住む31歳の女性は「以前は凶悪犯罪がニュースの中の話のように感じられたが、最近は地下鉄駅や繁華街、帰宅路でも事件が繰り返され、怖いと思うようになった。一人で夜道を歩いていると、『自分も被害者になり得る』とよく考える」と話した。

異常動機犯罪が繰り返される理由について、市民は共通して「甘い処罰」と不十分な予防体制を指摘した。

この女性は「事件が起きるたびに強く対応すると言うが、時間が過ぎるとうやむやになる感じがする。異常動機の凶悪犯罪は処罰をより厳しくし、再犯の可能性がある人たちへの管理も強化すべきだ」と述べた。

オンライン上のヘイト表現と社会的孤立の問題が、犯罪に影響を及ぼしているという意見も出た。

ソウル衿川区に住む29歳の女性は「10年前よりオンラインのヘイト文化や社会的孤立の問題が良くなったとは思わない。こうした環境が異常動機犯罪者を生む原因の一つだと思う」と指摘した。

専門家は、繰り返される異常動機犯罪を単なる個人の逸脱としてだけ見てはならないと強調する。弱者を対象にした怒りの表出、社会的孤立、犯罪予防システムの不在が複合的に絡み合っているという分析だ。

又石大学警察行政学科のペ・サンフン教授は「繰り返される異常動機犯罪の共通点は、自分より弱い対象に感情を転嫁し、怒りをぶつける性格があったという点だ。女性や高齢者、子どものように自らを守りにくい弱者を対象にした犯罪をどう防ぐかがカギとなる。最近は特定の空間に潜んでいて、自分の感情を爆発させる形の犯罪が多い。犯行場所を事前に見て回り、防犯カメラや巡回の有無を確認するなど、一定程度の計画性を持つケースも少なくない」と指摘した。

そのうえでペ・サンフン教授は「単に巡回を強化するという形で対応しては限界がある。犯罪に脆弱な空間をどう守るのかについて、現実的で具体的な議論が必要だ。人が亡くなってから『運が悪かった』と言うのは無責任だ。制度がないために被害が繰り返し発生している」と強調した。【NEWSIS イ・ダソム記者】

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