
一般人が出演する恋愛リアリティー番組やドキュメンタリー番組の制作が韓国の国内外で急増する中、出演者がインターネット上で深刻な誹謗中傷にさらされるなどの副作用が相次いでいる。過去の私生活が暴露されるケースや、海外では出演者が精神的苦痛から自死に追い込まれる悲劇も起きており、出演者の事前の適性審査だけでなく、放送中や終了後の心理的ケアなど制度的な保護策を求める声が強まっている。
◇背景に「悪魔の編集」
一般人が番組に出演する最大の生々しいリスクは「プライバシーの露呈」だ。インターネット上で個人情報が特定・拡散されやすい一方、一般人は芸能人のようにメディア対応やイメージ管理のノウハウを持たないため、被害が深刻化しやすい。さらに、番組内での対立構造や、いわゆる「悪魔の編集」によって視聴者から悪役に仕立て上げられるケースも少なくない。数日間にわたる撮影内容が数時間に凝縮される過程で、制作側の意図に沿った特定の言動やキャラクターが強調され、容姿や職業へのバッシングにつながる構造的な問題が指摘されている。
海外ではこうした危険性が放置された結果、痛ましい事件に発展した。日本では2020年、人気リアリティー番組「テラスハウス」に出演していた女性が、番組内での言動を巡りSNS上で激しい中傷を受け、亡くなった。また、英国でも2018年から20年にかけて恋愛番組「ラブ・アイランド」の出演者や司会者らが相次いで死亡しており、いずれも番組出演後のネット中傷や精神的プレッシャーが背景にあるとされる。
◇欧州では法制化、SNS停止措置も
「平気な市民を突然有名人に仕立て上げ、その結果を自己責任として放置している」との批判を受け、海外では法規制やガイドラインの策定が進む。英国の放送・通信規制庁(Ofcom)と議会は、体系的な「出演者保護パッケージ」を義務付けた。事前措置として独立した医師による精神健康評価を課すほか、事後措置として出演者全員に最低8回の心理カウンセリングを提供し、放送終了後14カ月間は制作側が定期的に健康状態を確認する仕組みを整えた。
また、バッシングの主戦場となるSNS対策として、出演期間中は本人のみならず家族や友人もアカウントの運用を停止する措置を導入した。さらに、急激な環境の変化に対応できるよう、メディア取材への応じ方やネット中傷への対処法、金銭管理に関する教育も実施している。しかし、こうした対策も万全ではない。元出演者からは英紙への寄稿などを通じ、「リアリティー番組は本質的に感情を極端に増幅させる構造であり、現在の対策は事後処理の域を出ていない」との限界も指摘されている。
◇対策急がれる韓国
韓国でも近年、「私はソロ」「ハートシグナル」などの恋愛番組や、夫婦間の葛藤を描くバラエティー番組が人気を集めているが、出演者保護の仕組みは発展途上だ。国内の制作現場が現在最も注力しているのは、犯罪歴や経歴詐称、私生活のトラブルなどを事前に調べる「出演者検証(スクリーニング)」である。問題が発覚した場合に番組全体の存続が危ぶまれるため、防衛的な側面が強い。
ネット中傷に対し、制作側が公式に法的措置を予告するなど保護への意識は高まりつつあるものの、欧米のような制度化には至っていない。一部の番組が独自に心理カウンセラーを同行させるケースはあるが、放送業界全体の共通ルールはなく、場当たり的な対応にとどまっているのが現状だ。関係者からは、出演者を競争させる構造そのものの見直しや、業界全体で順守すべき公的なガイドラインの策定を求める声が上がっている。
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