2024 年 5月 19日 (日)
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「鳩は有害」vs「人間こそ利己的」韓国で対立…「餌を与える行為」の法規制めぐり論争

ソウル市九老区の通りに集まる鳩(c)MONEYTODAY

「ほら。隣にまた来た」

今月17日、ソウル市九老区(クログ)の屋台。商人のキムさんは、鳩一羽が屋台の中にさっと入ってくると、ため息をつきながらこう話した。キムさんがドンドンと足踏みするとびっくりした鳩は逃げていった。

キムさんは普段から鳩が餌を求めて屋台の中に入ってきて困っているという。「若いお客さんは鳩が近づくとびっくりする。周辺に鳩の糞も多くて臭いがする。商売がやりづらい」

屋台の向かい側の公園に行ってみると、灰色や黒い鳩40羽余りが餌を探し回っていた。普段からここは鳩に餌をやるために訪れる人が多い。週に一度バイクに乗って来て餌をやる人もいれば、ベンチに座って近づいてくる鳩にお菓子の残りをやる人もいる。あまりにも鳩が多いため、周りには糞があちこちに落ちていた。

最近、鳩のような野生動物の排泄物で不快感を訴える市民が増え、野生動物に餌を与える行為を制限する「野生生物保護や管理に関する法律」(野生生物法)改正案が昨年12月、国会本会議を通過した。市民らは周辺環境が清潔になると喜んだが、動物保護団体は餌やり禁止行為は動物虐待と同じだと主張している。

改正案によると、地方自治体は条例で有害野生動物に餌を与える行為を禁止したり、餌を与える場所や時期などを具体的に決めて制限したりすることができる。昨年12月20日から施行され、違反すれば過料が科せられる。これまでは野生動物に餌を与える行為を防ぐ法的根拠がなかった。

鳩は2009年、有害野生動物に公式指定された。鳩は糞や飛び散った毛で文化財の毀損や建物の腐食など財産上の被害を与えたり、生活に危害を加えたりする恐れがある。

普段から鳩に悩まされている市民らは歓迎した。

京畿道議政府(キョンギド・ウィジョンブ)に住む主婦のチョンさん(44)は「マンション団地内にいる鳩のため、室外機の方から毎晩『グググ』という音が聞こえた。糞の臭いも深刻で、防虫ネットも新たに設置した。鳩が自分で餌を探して食べるようにすることで、鳩も人と衝突することなく安全に生きることができる」と話した。

ソウル市江東区(カンドング)に住むソンさん(50)も「鳩は有害な動物であるうえ、個体数も多いのに餌まで与えれば繁殖速度が速くなり、環境汚染が深刻になるだろう。鳩が自然のまま生きていくようにするのではなく、人為的に鳩を育てるのは誤った行為だ」と話した。

改正案に反対する声もある。

「平和の鳩のための市民の会」と「韓国動物保護連合」は1月3日、野生動物保護法を糾弾する記者会見を開き「鳩などに餌を与えれば過料を科せられるということは、鳩が飢え死にしろという言うのに等しい。鳩、キバノロなど多くの動物を有害野生動物と無責任に指定してきたのは代表的な人間利己主義政策だ。野生動物の個体数調節のために外国のようにハトに不妊の餌を与えながら管理する政策を導入すべきだ」と指摘した。

(c)MONEYTODAY

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