
韓国の大企業で、労働組合による成果給要求が競い合うように拡大している。SKハイニックス労組が営業利益の10%、サムスン電子労組が15%を求めたのに続き、現代自動車労組は純利益の30%を成果給に充てるよう要求した。
労組側は好業績が続く中、組合員にも利益を分配すべきだと主張する。一方、業界では市況変動や財務負担を考慮すると過大な要求との指摘が出ており、株主還元とのバランスを欠く場合、逆差別論争に発展する可能性も指摘されている。
SKハイニックスは労使合意により営業利益の10%を成果給の財源とし、これまでの「基本給1000%」の上限を廃止した。サムスン電子労組は営業利益の15%、現代自動車労組は完全月給制の導入とともに純利益の30%を財源とする成果給をそれぞれ求めている。
SKハイニックスの2026年営業利益は200兆ウォン(約22兆円)と予想され、この場合、約20兆ウォン(約2兆2000億円)が成果給として支給される計算になる。サムスン電子の2026年半導体部門の営業利益が270兆ウォン(約29兆7000億円)と見込まれる中、労組要求が反映されれば成果給は40兆5000億ウォン(約4兆4550億円)規模に達すると推定される。
サムスン電子労組が当初40兆ウォンを超える成果給を要求したと伝えられ批判が強まると、労組側は当初20%基準で交渉を進め、その後15%に調整したと説明した。
現代自動車の2025年通期純利益は10兆3648億ウォン(約1兆1400億円)で、30%を単純計算すると3兆ウォン(約3300億円)を上回る規模となる。労組側は、業績に見合う補償が迅速に必要だと訴える。ただし成果給は一度基準が高まると引き下げが難しく、市況悪化時には企業経営を圧迫する可能性があるとの懸念も出ている。
半導体業界は市況サイクルの変動が速く、自動車業界も米国の関税や需要の鈍化、電気自動車への移行など不確実性が大きいため、好業績の持続は容易ではないとの見方がある。
成果給規模の拡大により、研究開発や設備投資、海外生産拠点の拡充に回る資金が減少し、将来の競争力に影響する可能性も指摘されている。
単純比較では、現代自動車労組の要求額は同社の研究開発費5兆5275億ウォン(約6080億円)に迫る水準であり、サムスン電子労組の要求額は2025年の研究開発費37兆7404億ウォン(約4兆1510億円)を上回る可能性がある。
業界関係者は、企業は業績変動と投資余力を考慮する必要がある一方、労組は好業績を理由に即時分配を求める傾向があると指摘する。その結果、中長期の投資や資金繰り、国際競争への対応が後回しになりやすいとの見方だ。
また株主の立場からも、大規模な成果給が配当や自社株消却より優先される場合、反発が強まる可能性がある。成果給問題は労使対立を超え、企業の資本配分や株主還元政策にまで影響を及ぼしている。
サムスン電子は2025年、株主に11兆1000億ウォン(約1兆2200億円)の配当を実施したが、労組がこれを上回る規模の成果給を求めていることに対し、株主の不満も高まっている。現代自動車でも同様の構図が指摘されている。
投資業界関係者は「業績が良ければ労働者への利益分配はあり得る。その過程で投資家の利益が損なわれてはならない」と強調し、景気リスクを踏まえたバランスの必要性を指摘した。
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