2024 年 5月 2日 (木)
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[KWレポート] データが語る「コロナ時代の児童虐待」 (2)

「ジョンイン法」導入、なのに虐待急増

ソウル南部地方検察庁近くに設置された、追悼と加害者の厳罰を促す花輪©MONEYTODAY

韓国の児童虐待申告件数は2020年と比べ、昨年は30%近く増加しています。家にとどまっていた子供たちが再び学校に通い始め、隠されていた児童虐待が明らかになったためとみられています。統計をもとに児童虐待の現状を探ってみました。(シリーズ2/4)

昨年、韓国社会を騒然とさせた、いわゆる「ジョンインちゃん事件」が報じられて以来、児童虐待に対する社会の関心が高まった。特に児童虐待の申告や判定件数は急増する傾向を見せている。

2020年10月にソウルのある病院で、深刻な臓器損傷と7カ所の骨折などで死亡したジョンインちゃんの事件は、児童虐待に対する韓国社会の関心を高めた。ジョンインちゃんは生後7カ月目にホルト児童福祉会を通じてソウル・木洞の養父母と養子縁組されたが、それから271日で死亡した。常習的な暴行など児童虐待が死亡原因だった。

ジョンインちゃんの虐待に気づいた保育園などが3回も通報したが、警察と児童保護機関は養父母の元に帰し、結局惨事を防ぐことができなかった。今年4月に最高裁で養母は懲役35年、養父に懲役5年の刑が確定した。しかし、国民の怒りは収まらなかった。また「ジョンイン法」と呼ばれる児童虐待犯罪処罰などに関する特例法改正案が国会を通過し、施行されている。

ジョンイン法によって児童虐待殺害罪が新設され、従来は最高刑が無期懲役だったが、死刑まで可能になるよう処罰規定が強化された。さらに年2回、疑いの申告があれば、両親らと直ちに分離措置できるなど、警察と地方自治体職員の権限を拡大する内容も含まれる。

最高裁判所前に掲示板につけられたジョンインちゃんを追慕するメモ©news1

ジョンインちゃん事件以後、児童虐待に対する社会的関心は高まり、申告件数と判断件数の増加につながっているようだ。保健福祉省によると、昨年の児童虐待申告受付件数は、対前年比27.6%増の5万3932件だった。専門職員による調査を経て児童虐待と判断された事例は3万7605件で、一昨年に比べて21.7%増えた。申告受付と虐待判断件数は最近5年間で着実に増え、昨年は特に目立つ。

児童権利保障院の関係者は「申告件数が増えているのは、それだけ国民の児童虐待に対する関心が高まり、注意するようになったからだ。児童虐待関連統計が増えるのを否定的に受け止める必要はなく、肯定的な側面からも見る必要がある」と説明した。

同じ期間に、1000人当たりの虐待事例を示す「児童虐待被害児童の発見率」も昨年は5.02で、一昨年比で1ポイント上昇した。児童虐待の申告と判断が増加し、発見率も高まっているわけだ。ただし、米国(8.4)やオーストラリア(12.4)など先進国に比べると、まだ低い水準だ。

一方で、児童虐待の申告が急増し、担当する職員の業務負担も増え、現場では関連する業務を避けているという点は憂慮すべき部分だ。それだけ児童虐待関連政策を後押しする行政支援が急務だという指摘が出ている。専門家は関連人材と予算確保の必要性を強調している。

(つづく)

©MONEYTODAY

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