
米国・イスラエルとイランの軍事衝突が12日間続いた影響で国際原油価格が急騰し、エネルギー輸入に依存する韓国経済は再び「油価ショック」に直面した。専門家は「税制優遇」や「備蓄放出」といった短期対応策では限界があると警鐘を鳴らし、産業構造の転換とエネルギー自立という中長期的対策の必要性を強調している。
6月23日、ブレント原油先物価格は前日比3.9%上昇し、1バレル80ドルを突破。イランによるホルムズ海峡封鎖の承認が伝えられたことで、世界的に原油高の懸念が広がった。一方で、イランとイスラエルの停戦が24日に発効し、原油価格は70ドル以下まで一時下落した。
しかし、こうした“原油価格ショック”は今回が初めてではない。2011年の「アラブの春」、2022年のロシア・ウクライナ戦争など、約10年周期で繰り返されており、韓国経済への影響も甚大だ。今回のケースでも、原油価格が130ドルに達すれば韓国のGDP成長率は最大0.49ポイント低下すると予測された。
背景には中東依存型のエネルギー輸入構造がある。韓国の原油輸入の70%以上は中東産であり、そのうちの99%がホルムズ海峡を通るため、地政学的リスクに極端に弱い。
これに対し韓国政府は、追加補正予算に中東情勢対応費を含める可能性を示唆。過去には燃油税の引き下げ、電気・ガス料金の凍結、エネルギーバウチャーや軽油補助金など短期対策が取られてきたが、根本的な問題解決には至っていない。
産業研究院のイ・ソラ研究委員は「石油精製・化学・金属産業など、原油高に影響されやすい業種への特化支援が必要だ。輸出市場の競争力強化とともに、再生可能エネルギーの開発・商用化を推進すべきだ」と訴える。また、生産工程のエネルギー効率化、さらには製造業からサービス業への構造転換も求められている。
韓国銀行の研究によると、製造業の比重が高い地域ほど、原油価格ショックの影響が長期化する傾向にある。こうした状況のなか、韓国貿易協会のキム・ムヒョン研究員は「不確実な交易環境に備え、サービス産業を次の成長エンジンにすべきだ」と提案した。
いまこそ“痛み止め”に頼る対応から脱し、持続可能なエネルギー体制と柔軟な産業構造を築く転機である。【news1 キム・ヘジ記者】
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