2024 年 11月 30日 (土)
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外見至上主義=韓国の副作用 [KWレポート] 痩せるリスク (7)

イ・スヨンさんが3月11日に記録した運動日誌(c)news1

自身のブログに「摂食障害克服記」を書くイ・スヨンさん(仮名・24・女性)。パーソナルトレーニングを受ける前まで、食べ物に対する強迫観念はそれほどなかった。インターネットを通じて「プロアナ(pro-ana)」(拒食症を精神疾患ではなく個人のライフスタイルだと主張する運動)の話に触れても、共感できなかった。

しかし、ある瞬間から変わった。

「プロアナ」の人たちは、痩せた体に憧れて食べ物の摂取を徹底的に制限する。長時間、水だけを飲み、暴食後に嘔吐するというやり方だ。主に10~20代の女性で、痩せた人々の写真を共有し、一緒に体重を「絞り込む」友達を探す。

そのうちの一人、Aさん(17)は、食べ物の摂取量を最大限減らす方法でダイエットしていた。身長は158cm、体重41kgで、肥満度を示すBMI(体格指数)=体重÷(身長×身長)=は既に正常範囲以下の低体重だった。

「周囲から『痩せてる』『もっと食べなさい』と言われ続けると、かえって“太ってしまえば、こんな言葉を掛けてもらえなくなる”と考えるようになる。それで、痩せなければ、という強迫観念が生まれたようです」

Aさんは目標体重の37㎏を目指し、日々、断食と運動を繰り返している。

さらに最近、麻薬類に分類される食欲抑制剤「Dietamin」に手を出し、警察の取り調べを受けたりした。

人生で外見が占める重要度がどの程度なのか――この質問に、Aさんは「10点満点で8点」と答えた。

外見が重視される韓国社会では、若者は自由には生きられない。

◇「摂食障害、もっと知らせたい」

Aさんのように摂食障害を経験している青少年を見ると、スヨンさんは悲しい気持ちになる。地道に克服記を書いている理由もこのためだ。

「ある方が私の日記を見たあと、自分も拒食症と“食べて吐く行為”を直すために努力している、とコメントしてくれました。私のための記録でしたが、誰かを助けることもできると思って日記を書き続けてきました」

自身の日々を記録することで、スヨンさんの体調は少しずつ良くなってきた。

依然、食べることへのストレスを受け、その都度、腹立たしくなる。だが、その頻度は以前より大幅に減った。

担当医は、日々記録をつける行為を「良い習慣だ」と応援する。周りの人たちの応援を受け、摂食障害とともに訪れたうつ病も、だんだん良くなっている。

スヨンさんは「摂食障害を持ったことは、恥ずかしいことではない」と訴える。治療できる病気であり、自ら受け入れることが重要だ。

外見至上主義が蔓延している昨今、無理にやせるダイエットの副作用がどれほど危険なのか――これをはっきりと示したい。

「最近、きれいだといわれる女性アイドルは、誰が見ても痩せてるじゃないですか。しかし、彼女たちがどのように食べて、どれだけ運動しているかは知られていません。見える部分ばかりを強調し、摂食障害という問題を覆い隠すのは、おかしいと思います」

(つづく)

(c)news1

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