
韓国・仁川で2024年、巫俗(ふぞく、シャーマニズム)の信奉者である叔母らが「除霊」と称して30代の姪を鉄製構造物に縛り付け、炭火で熱して死亡させた「仁川炭火除霊殺人事件」を巡り、控訴審で判決が覆った。殺人罪を認めて主犯の叔母に無期懲役を言い渡した1審判決に対し、2審は傷害致死罪を適用して懲役7年に大幅に減刑した。この判断に専門家や世論から疑問の声が噴出し、議論が広がっている。
事件は2024年9月18日、仁川の飲食店で発生した。叔母は姪に「悪霊がついている」と主張し、自身の子供や信者らとともに姪を鉄製アングルに拘束。その下に炭火をたいて熱を加える凄惨な儀式を約3時間にわたって強行した。姪は全身の25%に及ぶ重度の熱傷を負い、その後に死亡した。
5月に韓国SBS「それが知りたい」で取り上げられた内容によると、叔母らは儀式の過程で姪の髪をつかんで平手打ちを繰り返したほか、服を脱がせて熱を直接浴びせ、口に炭を入れて猿ぐつわをかませるなどしていた。姪が激しい苦痛を訴え拘束を解くよう求めたにもかかわらず、現場の誰も救助しなかったという。
1審はこれらの行為について、通常の儀式の範囲を逸脱しており、姪が倒れた後も救急通報せず現場の片付けを優先した点などから「殺意があった」と認定した。主犯の叔母に無期懲役、共犯者に懲役20年以上の重刑を科し、事件を黙認した姪の実兄にも懲役10年を言い渡していた。
しかし、4月の控訴審判決で流れは一変した。裁判所は、被告らに殺意や事前の計画があったとは見なし難く、姪の死亡を予見することも困難だったと判断。姪自身が儀式に同意していた点や、叔母が実際に姪を救うための呪術行為だと信じていた可能性を考慮し、殺人罪ではなく傷害致死罪を適用した。これにより叔母の刑期は大幅に短縮され、共犯者6人には執行猶予が言い渡された。
この判断に対し、番組に出演した専門家からは「現場にいれば十分に危険性を認識できたはずで、死亡に至る環境だったことは明白だ」「この規模の暴挙を傷害致死と捉えるのは非常に危険な判断だ」との批判が相次いでいる。殺意の有無を巡って司法の判断が真っ向から分かれる中、事件は今後、最高裁の最終判断を仰ぐことになる。
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