
「買い主が前日8日夜に売買契約書に判を押しました。けさまでに申請書類9点をすべてそろえたか、何度も確認しました」
土曜日の9日午前、ソウル市松坡区庁で会った不動産仲介業者は、週末にもかかわらず委任状などの紙の書類をかばんいっぱいに詰め、区庁に出向いた。早朝だったが、区庁1階ロビーには同じような申請者5~6人が集まり、準備した書類を改めて確認していた。
10日から多住宅保有者への譲渡所得税の割り増しが復活するなか、この日、ソウル市内の区役所には市民が集まった。9日までに土地取引許可を申請すれば、重課税を避けられるためだ。
これを受け、ソウル市内25区の区役所と京畿道内12カ所の市庁・区役所は、土曜日にも窓口を開いた。規制適用の直前まで土地取引許可の申請が続くことを見込んだ措置だった。
この日訪れた松坡区庁では、1階入口に土地取引許可の受付窓口が別途設けられていた。職員は申請者が窓口を訪れるたび、土地取引契約許可申請書や土地取得資金調達計画書など、必要書類が記された紙を一人ひとりに配っていた。瑞草区庁でも、担当部署の事務室前に「受付窓口運営案内」の掲示が張られていた。
区役所で会った申請者の多くは、前日に多住宅保有者の物件を契約していた。ソウル在住の40代前半の会社員は「7日まで物件を見て回ったが、ここから提示価格がこれ以上下がることはなさそうだと判断した。それで前日8日に有給休暇を取り、契約書に判を押した」と話した。
前日夜にマンション契約を済ませたため、必要書類を持っておらず、自宅に戻った人もいた。瑞草区で会った申請者は「昨日あまりに急いで契約書に判を押したため、売り主側の書類を漏らしてしまった。午後6時まで時間はあるが、バスにも乗らなければならず気が急いている」と話した。
江南圏では、物件が売れず焦る多住宅保有者のケースも見られた。この日、ヘリオシティ専用33平方メートル物件の希望価格は28億5000万ウォン(約3億1350万円)だった。4月末の取引価格29億7000万ウォン(約3億2670万円)より約1億ウォン(約1100万円)低い水準だ。
蚕室近くの不動産仲介業者は「けさもヘリオシティ専用84平方メートルの多住宅保有者物件について、希望価格を尋ねる電話が3~4件ほどあった。貸主と会って早く約定書を書かなければならないので、1時間以内に返事がほしいとせかしている」と語った。
政府は10日から、多住宅保有者を対象に譲渡税を重課する。譲渡税の重課が復活すれば、2住宅保有者には基本税率6~45%に20ポイント、3住宅以上には30ポイントが加算される。地方所得税10%まで適用すると、3住宅以上の多住宅保有者の実効税率は最大82.5%まで上がる。
業界では、譲渡税重課の復活によって当面、売り物件が市場に出にくくなるとみている。ウリ銀行不動産リサーチラボのハム・ヨンジン所長は「10日から譲渡税負担による物件不足と価格の強含み現象はあるだろう。7月の税制改編前までは、一時的な物件不足の問題がある」と述べた。
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