2026 年 3月 28日 (土)
ホーム経済IT/メタバース韓国AI基本法、施行2カ月で見直しへ…ディープフェイク範囲・安全基準の見直し議論が本格化

韓国AI基本法、施行2カ月で見直しへ…ディープフェイク範囲・安全基準の見直し議論が本格化

2024年12月26日、AI基本法が可決された国会本会議(c)NEWSIS

韓国政府が「人工知能(AI)基本法」施行からわずか2カ月で、ディープフェイクや高影響AIなど主要条項の見直しに着手した。制度の不明確な部分を補うため、具体的な修正方向を内部で整理し、本格的な制度再整備に乗り出している。

メガ・ニュース(MEGA News)のイ・ナヨン記者の取材によると、科学技術情報通信省は25日に開いた「AI基本法制度改善研究班」の初会合で、法改正が必要な論点として5項目を提示した。具体的には▽配布者(Deployer)の定義新設▽ディープフェイクの適用範囲の限定▽安全性基準の見直し▽高影響AIの範囲縮小と政府管理データベース登録制度の導入▽公共分野AIの影響評価結果の公開義務化――が挙げられている。

これらは確定事項ではなく、下位法令整備の過程で集まった意見の中から法改正が必要と判断された例示にすぎない。ただし業界では、今後の議論が大きくこの枠を外れることはないとみている。特にディープフェイクの範囲縮小や高影響AIの見直しなど、産業界が継続的に求めてきた内容が多く含まれている点が注目されている。

配布者の定義新設は、現行法の責任主体の区分に起因する問題だ。AI基本法では、AIを開発・改良する「開発事業者」と、既存AIをサービスとして提供する「利用事業者」に分けている。一方、欧州連合(EU)のAI規制では、開発者にあたる「提供者」と、実際に運用する「配布者」を区別し、それぞれ異なる義務を課している。韓国では配布者に相当する概念が存在せず、責任の所在が曖昧との指摘があった。ただし、EU方式をそのまま導入すれば、サービス利用者まで規制対象に含まれる可能性があり、対象範囲の拡大への懸念も出ている。

ディープフェイクについては、現行制度が人物だけでなく自然物や人工物を含む広範な生成物に適用されるため、規制範囲が過度に広いとの批判があった。AIが生成した風景や物体の画像にも表示義務が及ぶ可能性があるため、対象を「人物に関する結果物」に限定する方向が示されている。

安全性基準も大きな見直し対象となる。現在は累積演算量10の26乗フロップス(FLOPs)以上のAIを規制対象としているが、これはAIが処理を完了するまでの総演算回数を意味する。この基準は大規模AIを管理する目的で導入されたが、現実には国内企業で該当するケースがほとんどなく、実効性に乏しいとの指摘があった。そのため、今後は演算量ではなく実際のリスクに基づく基準へ転換する方向で議論が進む見通しだ。

高影響AIの定義についても見直しが提案されている。現行の「特定分野で使用されるAI」という定義は範囲が広すぎるとされ、「使用を意図したAI」に限定する方向が検討される。また、対象AIを政府の管理データベースに登録する制度の導入も併せて検討される。

さらに公共分野で導入されるAIについては、影響評価の結果を公開する義務を課す案も示された。透明性の確保を重視した措置とみられる。

研究班は来月から本格的な活動に入り、学術・法制度、産業界、市民社会の3分野に分かれて月2〜3回の会議を開き、制度改善案を具体化する。政府は6月までに分野別の改善案をまとめ、その後調整を経て年内に制度改正へつなげる計画だ。AIエージェントや性別バイアスといった新たな論点も議題に含まれる予定となっている。

(c)KOREA WAVE

RELATED ARTICLES

Most Popular