
生活苦の末、持病を抱えていた妻を殺害した60代の男が、殺人ではなく「嘱託殺人」の罪で裁判にかけられることになった。嘱託殺人は被害者の依頼を受けて殺害した場合に適用され、通常の殺人罪より刑罰が軽い。
清州地検は当初殺人容疑で送致された65歳の男について補完捜査を進めた結果、嘱託殺人容疑に変更し、10日に拘束起訴した。
男は2026年2月9日午後6時ごろ、忠清北道報恩郡報恩邑のモーテルで61歳の妻を殺害した疑いが持たれている。男は犯行翌日、「妻が亡くなったようだ」と119番通報したが、その後の警察の追及で犯行を認めた。
男は警察の取り調べで、妻が骨髄がんの疑いと診断され悲観し、自分を殺してほしいと頼まれたと供述した。夫婦は基礎生活保障の受給者で子どもはおらず、ワンルームで2人だけで暮らしていた。生活苦の末に心中を決意し、事件当日にモーテルへ向かったという。
警察は男の供述を裏付ける証拠を見つけられず、殺人容疑を適用して2月20日に拘束送致していた。
その後、検察は供述の信頼性に焦点を当て補完捜査に着手した。解剖結果をもとに病院関係者を呼んで事情を聴き、妻の生前の診療記録や、男の血液から睡眠誘導剤成分が検出された事実などを確認した。
捜査の結果、男は犯行直前に妻とそれぞれ睡眠誘導剤を服用し、心中を試みたが致死量に達せず失敗。その後、妻の言葉を受けて殺害に至ったことが分かった。
検察関係者は「被害者が死亡しているため、男の供述の信頼性を確認する作業は容易ではなかった」と説明。そのうえで「妻が入院していた病院の関係者を調べ、男が妻にどのように接していたのか、犯行動機があったのかなどを検討した」と述べた。
さらに「男と病院関係者の供述が一致している点などを総合的に考慮し、男の供述は信頼できると判断した。責任に見合う刑罰が宣告されるよう、公判維持に万全を期す」と説明した。
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