2025 年 7月 12日 (土)
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「道がわからない!」韓国旅行でGoogleマップが使えない不便、観光客から不満続出

2025年3月10日、ソウル・明洞でスマートフォンを見つめる外国人観光客(c)news1

韓国を訪れる外国人観光客の間で、「グーグルマップが使えない」という不満の声が高まっている。観光客の増加にもかかわらず、道案内や店舗情報など、観光の基本インフラが十分に機能していない現状が浮き彫りになっている。

韓国観光公社が発表した「2024年観光不便申告総合分析書」によると、昨年1年間に寄せられた観光に関する不満は1543件で、前年比71.1%増加した。そのうち不満の最も多かったアプリは「グーグルマップ」で、全体の30.2%を占めた。特に多かったのが「徒歩ルート案内など特定機能の制限」(31.2%)である。

実際、グーグルマップでは韓国内で徒歩や車でのルート案内が利用できず、利用可能なのは公共交通案内のみとなっている。たとえば、ソウル・龍山駅から人気観光地である「HYBE本社」までのルートを検索すると、グーグルマップでは検索すらできなかった。一方、ネイバー地図では正確な位置と徒歩経路まで案内された。

このような差は、釜山への移動でも顕著だ。ネイバー地図はKTX、高速バス、航空など13の交通手段を案内したが、グーグルマップは7つにとどまり、情報の精度と量の両面で劣っていた。

なぜ、韓国でグーグルマップは十分に機能しないのか。その背景には、安全保障と主権の問題がある。

韓国政府は、グーグルが要求する1:5000の高精度地図データの海外搬出を、軍事施設や国家機密が含まれるという理由で拒否してきた。韓国内にサーバーを設置すれば利用が可能となるが、グーグルは15年間それを拒み続けている。

IT業界関係者は「これは単なる観光インフラではなく、国家主権と産業戦略の問題だ。地図データを渡せば、国内中小企業やスタートアップが依存する地図API費用が高騰するリスクがある」とも懸念を示す。

実際、グーグルに1:5000レベルの高精度地図を提供している国はほとんどなく、グーグルが詳細なサービスを展開できるのは、自社投資によって現地データを整備し、交通情報などと連携させているからに過ぎない。

このような状況のなか、観光客にとって最も重要な「ナビゲーション機能」と「店舗情報の正確性」において、グーグルは韓国のローカルアプリよりも劣るとの指摘がある。

韓国政府は昨年末の「国家観光戦略会議」で、外国人が母国語で地図サービスを利用し、簡便に決済できる環境整備を打ち出したが、目に見える進展は乏しい。文化体育観光省は「地図アプリの改善は観光インフラの核心課題であり、政府として責任をもって取り組む」と述べている。

(c)news1

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