韓国の高齢者世帯の年平均所得が昨年3500万ウォン(約384万円)に近づいたことがわかった。高度成長期を享受して資産を蓄積してきたベビーブーム世代が高齢者になり、高齢者全体の所得と資産が急激に上昇しているわけだ。
ただ高齢者人口の中で貧困線である中位所得50%未満に属する人々が、依然として40%に肉迫している。それだけに「平均の罠」があるという点を看過できない。
保健福祉省の「高齢者実態調査結果」によると、昨年の高齢者世帯の年間所得は3469万ウォンで、前回調査時期の2020年(3027万ウォン)より442万ウォン増加した。
同期間、個人所得は2164万ウォンで606万ウォン増え、金融資産規模は4912万ウォンで1699万ウォン増加した。
不動産資産規模は3億1817万ウォンで5634万ウォン増え、不動産保有率は97.0%で0.4ポイント増加した。
高齢者の所得と資産は1955年~1963年生まれで構成された1次ベビーブーム世代が高齢者に編入され着実に増えている。
「ベビーブーム世代」は朝鮮戦争(1950~53)以後に生まれ、高度成長期を享受し、高学歴と資産を備えた富裕な「新老年層」として通じる。
高齢者世帯の年間所得は、2017年は2590万ウォンだったが、1955年生まれが高齢者になった2020年(3027万ウォン)には16.9%上がり、初めて3000万ウォンを突破した。昨年は14.6%上昇して3500万ウォンに達した。
ただ、こうした統計を、65歳以上の高齢者全体の生活が急激に改善されているというシグナルとして受け入れることは難しい。
まず、ベビーブーム世代が属する前期高齢層からその上の世代である後期高齢層に行くほど、所得と資産指標が悪くなる傾向が現れる。
同省の「2023年度高齢者実態調査報告書」によると、昨年65~69歳の高齢者世帯の年間総所得は4787万ウォンで、70~74歳は3261万ウォン、75~79歳は2768万ウォンだった。このほか、80~84歳は2301万ウォン、85~89歳は2441万ウォンだ。
同じく65~69歳の高齢者世帯の金融資産規模は5523万ウォンだが、70~74歳は4884万ウォン、75~79歳4632万ウォン、80~84歳4530万ウォン、85~89歳3949万ウォン、90歳以上は3997万ウォンで、上の世代に行くほど次第に下落する。
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