
韓国・新世界グループのチョン・ヨンジン(鄭溶鎮)会長は26日、スターバックスの「タンクデー」論争に関連し、自ら頭を下げて謝罪した。スターバックスコリアの代表取締役を解任し、2回にわたり謝罪文を掲載したにもかかわらず、論争がなかなか収まらない中、グループのオーナーが前面に出た形だ。
財界では、企業内の大型悪材料を受けてオーナーが謝罪する例は珍しくない。ただ、謝罪後に収拾局面へ入った成功事例がある一方、謝罪後も論争が長期化した事例も少なくない。チョン会長の正面突破がどちらの結果につながるのか、業界の注目が集まっている。
オーナー一家の謝罪が事態収拾の転換点となった代表例としては、サムスン電子のイ・ジェヨン(李在鎔)会長のケースが挙げられる。
2015年6月、サムスンソウル病院が中東呼吸器症候群(MERS)拡大の原点と指摘されると、イ・ジェヨン氏(当時副会長)は自ら国民に謝罪した。イ・ジェヨン氏は「国民の皆さまにあまりに大きな苦痛と心配をおかけした。私の責任を痛感している」と頭を下げた。
イ・ジェヨン氏の謝罪は遺憾表明にとどまらず、患者治療への責任、救急室の過密化改善、感染症研究支援など具体的な解決策を示し、悪化していた世論を反転させた。一部では当時の謝罪文を「謝罪文の定石」と評価する声もあった。
イ・ジェヨン氏は最近、サムスン電子で創業以来最大規模のストライキ危機が高まる中でも、海外出張から急きょ帰国して謝罪した。イ・ジェヨン氏が自ら事態収拾に乗り出すと、平行線をたどっていた労使の集中交渉が再開され、最終妥結に至った。
一方、オーナーの謝罪が意味を失い、論争が長期化した事例もある。南陽乳業のホン・ウォンシク元会長は2021年、新型コロナウイルスをめぐるいわゆる「ブルガリス騒動」で国民に謝罪した。
涙まで流しながら会長職辞任と子どもへの承継放棄という強い措置を示したが、その後の対応が問題となった。事態収拾に向け、私募ファンドのハンアンドカンパニーと株式売買契約を結んだものの、ホン元会長は一方的に契約解除を通知し、ハンアンドカンパニーと長期にわたる経営権紛争を繰り広げた。
2021年に始まった紛争は、2024年初めに大法院(最高裁)がハンアンドカンパニー側の主張を認めて終結した。しかし2020年から赤字だった南陽乳業は、経営権紛争が続いた2023年までに累積赤字が3000億ウォン(約330億円)に達するほど業績が悪化した。その後、ハンアンドカンパニーが経営を担うようになり、2025年に黒字転換に成功した。
業界では、真摯な謝罪はもちろん、具体的な後続措置が伴ってこそ消費者が戻るとの指摘が出ている。
チョン会長は謝罪文で「今回のことに対するすべての責任は私にある。私の過ちだ」と述べたが、疑惑の焦点である担当職員の「故意性」については判断を留保した。リスク管理システムの不備も認めたが、どのような方式で再発防止を実現するのか、対策の具体性が不足しているとの評価もある。
業界関係者は「関連職員が携帯電話の提出を拒否するなど、論争の火種は依然として残っているようだ。総帥の謝罪で事態が収束するのか、論争が長期化するのかは、消費者世論や警察の捜査などを見守る必要がある」と話した。
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